庭園ドライブ編

我々が行ったのは10月、つまりニュージーランドでは春にあたり、丁度花が咲き始めている。 ぼのぼのツアー専門の我々は今回の旅行を庭園ツアーと決めていた。

庭園

ニュージーランドの人は庭園を作るのが好きらしく、家の手入れや庭の手入れが行き届いた綺麗なところが多い。イギリスの影響だとは思うが、かなり大規模だ。一般の家庭のうち、ちょっと大きめのところは観光客向けに少しの入場料で入らせてくれる。今回は花の季節ということで、我々は観光名所には行かずに、庭園ツアーをすることにした。
日本の雑誌で見た幾つかの庭園を見てまわることにする。
最初に立ち寄ったところは、ちょうど家の人がテラスでお茶を飲んでおり、我々を見ると大きな黒い毛むくじゃらの犬が寄ってきた。おもわずナデナデして見学のお許しを乞う。案内書を一枚貰ってうろうろ歩く。いろんな色の花が咲いていてなかなかよろしい。
sakura1.jpg shakunage1.jpg flower1.jpg flower3.jpg pansy1.jpg
見晴らしの良いところでは白黒の派手な鳥が何羽か居て、早速双眼鏡で観察。妻とカズは二人でこの鳥を「パンダドリ」と名づけた。結局最後まで本当の名前を知る機会はなかったので、我々はずっとパンダドリと呼び続けることになる。
この庭園ではオマケに各種ガーデニング・グッズを売っており、それも楽しかった。巨大なギザギザの付いたスコップの先のようなプラスティック製品が秀逸だった。これを手にはめてガバッと落ち葉でも集めたら効率いいよね、というものだ。庭園の規模がデカイからこういうのは必要だよなあ。
何を血迷ったのか妻はここでブタのドアストッパーなるものを買った。ただの綿のぬいぐるみなのだが、まあこれをドアに挟んでおけば少し隙間が開いたままにできるよ、というものなのだろう。ガーデニングとどういう関係があるのか知らないが大小各種取り揃えてある。ニュージーランドとも庭園とも何の関係も無いこれを一つ買って我々は次の庭園を目指すのだ。

次の庭園は山の上だった。町から山に登る道をひたすら走る。道路を子供連れの七面鳥が歩いていたりしてなかなか笑えるのだが、頂上にたどり着いたらそこにはヤギが。お友達になろうかと思ったらちょっと大きくてびびる。
shitimen1.jpg
なかなか広い庭園で、入ったところが前庭なのだが、これがまた手入れが行き届いている。
rathmoy1.jpg
ふと右を見るとそこには何故だか馬並みの大きさのラマが居る。ラマ?なんでラマ?このラマを飼っている謎の家庭が目指す庭園で、確かにラマが飼えるほどの大きな庭園だった。趣味でラマを飼える芝生付き庭を作れるとは。。。まさか実用じゃないよね。ラマって何か役に立つの?他にも白孔雀、孔雀バト、白鳥、金鶏、キジと、どうも役には立たないような奴等がいっぱい居る。なかなか良いセンス。置いてあるカカシはまるでツッコミを入れている漫才師のようで、関西人トリオは敏感に反応してしまった。この庭園のデザイナー、なかなか出来るな。
dove1.jpg peecok1.jpg donkey1.jpg duck1.jpg kakashi1.jpg
因みにこのラマ君は役に立たないどころか、お友達になろうと近づいた僕らを見ると軽やかに走り寄ってきて「ふがっ」とでかい鼻息で威嚇するのだ。そして睨み付けた後再び軽やかに走り去る。それはなかろうに。
rama1.jpg rama2.jpg
それはさておき、何より庭の裏から見た景色は素晴らしかった。180度見渡す限りの山並み。個人宅でこのパノラマというのは実にうらやましいが、でも結構高い山だし、冬は寒いんじゃないかな。
panorama32.jpg (132KByets)
観光案内には、ここには巨大セントバーナード犬が居るとあり、これとお友達になるのが一つの楽しみだったのだが、彼らとは会えなかった。遠くその姿をちらっと見たにとどまり、うーん、残念。
kaz1.jpg (哀愁ただようカズの後ろ姿)

山を下りて再び町(と言っても家が10軒ほど)に戻り、売店っぽいところで昼食。天気が良いので表で食べることにするが、この店の店頭においてあるサンドイッチがまあ巨大で、並みのハンドバックぐらいはある。誰が食べるのよと思いつつ、チーズバーガーとベーコンバーガーを頼む。まさかこんなサイズは出ないよなと念じつつ待つと、幸い妥当なサイズのものが渡された。しかしいっしょに頼んだチップス(ジャガイモを揚げたもの)はさすがに多かった。新聞にくるまれたサイズはやっぱりハンドバックサイズ。まあおいしいからいいけどね。

三つ目の庭園はこれまた山の中で、途中オフロードドライブになる。元々ダルなハンドリングなので、かえって問題無し。道中ではタラナキ山が綺麗に見えて、なかなかよろしい。
taranaki1.jpg
しかし閉園時間が午後4時という事が判明してあせる。気がついたときには既に15分前だが、まだ20Km以上あるじゃないのよ。この季節、ニュージーランドは午後8時すぎでもまだ明るいので、僕らは時間間隔が狂っているのだ。
着いたときはもう4時を超えていたのだが、家のおじさんは問題無く見せてくれて良かった。ここが最もイギリス庭園風で、山の斜面を使って階段の周囲に見事な飾り付けが施されていた。花も多く、色も鮮やか。
iris1.jpg tsutsuji2.jpg tsutsuji3.jpg tsutsuji4.jpg kofai1.jpg
面白いのは下の方にスギやシダなどのニュージーランド原生植物が多く生えていたことだ。植えたのか、元からあったのか、とにかく巨大なシダ系の植物が生えている。
他の庭園でも幾らかは植わっていたが、ここほどではない。
sheeder5.jpg sheeder1.jpg sheeder2.jpg sheeder6.jpg

のんびり庭園を満喫した我々は、再びドライブを続けて宿泊先、パーマストンノースのカズのフラットへと走った。

スーパー

この日の晩ご飯はカズのフラットで適当に調理して食べようということになっていたので、フラットに行くまでに材料を買いにスーパーに入った。
広々してていいんだけれど、まあカートがでかい。週末は皆これに山盛り買うのだそうだ。まあ市中の店で出る料理が軒並み量的に多いことから、彼らがたくさん買うのも想像できる。
しかしマーガリン 4 リットルのでかさには驚いた。全く普通のパックと同じ形のもので、ただひたすらでかい。誰がこんなに食べるんだ?
ここで牛肉とスープの素、デザートにヨーグルトなど買い込んで帰る。

キャスティーン

フラットに到着すると、フラットメイト(白人二人、日本人一人)がいた。白人女性のキャスティーンがなかなか親切な人で、カズと冗談を言いながら翌日やってくるお客のためにインド料理の下ごしらえをしていた。
彼女とちょびちょび通じない英語で話しつつ、カズの料理の面倒を見る。(我々の間では「肉を飼う」と表現する。「ちょっとその肉飼っといて」)少しは彼女、日本語が話せるようで、カズはたまに日本語を教えている。たまたま料理に要るので僕が貸してくれといった「(おたまのような)何かすくうもの」と言う表現に興味を持ち、カズに質問するシーンが楽しかった。カズは派手に身振りをしつつ「すくう」と言っている。遂には金魚すくいの説明をしはじめて、はたから見ていると実に笑える。

お手製(?)晩ご飯を食べて、ふうと一息ついていたら、ビールをのみに行くことになった。フラットでは酒はだめなのだそうで。
キャスティーンも一緒に行くことになり、バーでビールをちょろちょろ飲んだのだが、この時ニュージーランドに来てはじめて若い人の団体を見た。パーマストンは学生の町なのだそうで、若い人がたくさん居る。ちょうど週末の夜ということもあって、飲んでみな騒いでいるのだが、その姿を見ると若い人はどこの国でも皆いっしょねと思ってしまった。元気でよろしい。
ところがキャスティーン曰くは、確かに若い男は居るが、若すぎて、自分に合う年齢の良い男が居ないとの事。それ以上年上の男と言うと、これがまた年上過ぎて駄目なのだと。しかも学校が休みになると店は皆閉まり、パーマストンはただ退屈なだけの町になると言う。
そんなこんなでパーミィ(パーマストンノースの略称)の夜は更けて行くのであった。

つづく