不変の識別子を持つ

ネットワーク上のポインタは全て不変の識別子であるべきだ。ドメイン名を売り買いしている場合ではない。

現在インターネット上での資源の場所を指すための識別子としてもっとも多く使われているものは URL だと思う。 この URL に限らず、ネット上でのポインタにはまず間違いなくドメイン名が含まれているだろう。 つまり、自分の作った資源の場所を示すものとしてドメイン名は使われる。

しかしドメイン名や URL は、プロバイダやネットワーク資源構成上の都合などによって簡単に変えられてしまう。 そうすることによってあちこちに作成された自分の資源へのポインタは全て切れてしまうことになる。それは困る。そんなことが繰り返されたらネット上には「新しいもの」と「古いクズ」しかない事になり、あっという間に事実上クズだらけになってしまうことは間違いない。(これについての詳細は『電子世界の出版と蓄積』を参照)

つまり誰かのドメイン名のもとにネットワーク上に資源を置いている限り、それは仮住いに過ぎない、という小さな制約が、結果的にネット世界をクズ置き場に導いてしまうのだ。 つまり、皆が(極力)不変の識別子を使うことが大切なのだ。 しかし多くのプロバイダがこのことに気づき、自分たちのポインタが不変のものとなるように努力してくれるにはまだまだ時間が掛かるだろう。

だから今は自分たちが取れる手段として、自分たちでドメイン名を確保し、それが不変のものとなるよう自分たちで努力していこう。 そして周囲に不変の識別子としてのドメイン名の意味を認識してもらうよう働きかけよう。
しかしこの意味で JPNIC が多くの or.jp ドメインを ne.jp ドメインに変え、大量の資源へのポインタを一斉に切る行為に走ったのは実に残念だ。これで jp ドメインの不変性は非常に低いものだということが明らかになった。jpドメインのレジストラそのものによって識別子をリナンバリングされてしまうのだから。僕らはどこから識別子を得たらいいのだろう。

商標との一致などといって、あちこちの企業でドメイン名を売ったり買ったりして変えてる場合じゃない。

(『何故ドメイン名を争うのか』も参照)



Yutaka Yasuda

1998.06.06