スラム出身の若者がミリオネアクイズに挑戦し、見事最後の問題をクリアする。彼は全ての答えを知っていたからだ。不正にではなく、運命として。
ようやく見た。納得した。や、良い映画である。
インド映画である。当然踊るのである。最後だけとはいえミュージカルシーンはあるのである。観客もそれがないとおさまらないのであろう。
インド映画である。当然サクセス・ストーリーなのである。勧善懲悪なのである。悲恋なのでありお涙頂戴なのであり判官びいきなのである。そして運命だ。どれもこれもないとやはりおさまらないのであろう。(前世に関する要素が無いのはダニー・ボイルの西洋的抵抗なのか?どこかにそれも埋められていたのか?)
幕の内弁当のようにぞろぞろとそれらを散りばめて、そこにクイズの一日と、小刻みにフラッシュバックされる十年あるいはそれ以上の時間を映画は疾走する。そのスピード感こそがダニー・ボイルの描きたかったものではないかと思う。運命が人々の時間を走り抜けるのだ。
僕は『トレイン・スポッティング』を見ていない。しかし『28日後』は見た。このスピード感がダニー・ボイルなのかとなんとなく思った。本作も同じスピード感、疾走感がある。それが良い。