美大生の芸術と恋と友情と波乱の日々を描く。
そう。『100万円と苦虫女』からの蒼井優つながりである。DVDを借りて見た。
何しろ原作を見ていないので何とも判らないところがあるが、なんというかマンガのコマのような絵だったし、キャラクターだった。蒼井優はどちらかというと年よりは上に見えるのだが、ほぼ実年齢通りとはいえ、むしろ幼い目のキャラクターがえらくうまいこと絵になっている。結局彼女を使いたがる映像作家らはこういうところに引っ張られるのだろうか。演技力とか何とか言う話以前のところに。
もう僕は彼女が最初に画面に出てきたところからずっと彼女の動きから目が離せない。いいねえ。こういう女優さん。
もう一人。伊勢谷君が実に面白い。目立っていて良い。ボロボロの外見にあの独特の声。うさんくささ満点である。僕の回りにもこのくらい吹っ飛んだ学生が居ると良いのになあと思ってしまう。まあ大抵は手が掛かることこの上ないので実際に居るとしんどいのだが。ある種、人間の魅力というのはよく分からないところにあるんだと思う。
僕が伊勢谷君を最初に見たのは多分『害虫』のラストシーンだと思うのだけれど、それ以来気になる存在となっている。『キャシャーン』のような役がいいのかもしれないけど、僕がインパクトで一番だなと思うのはやはり『嫌われ松子の一生』である。もう彼しかあり得ない。
ところで僕は芸術と縁のない生活をしている。まともに聞いた音楽もないし、絵を見ても心の中には何も残らない。文学、というか小説などにしても同じ。作る、ということも時々はするが(ただ音楽を作ったことは一切無い)、料理にしても何かのデザインにしても何というか芸術性はない。センスがないって事か。
そういう身からすると僕には彼ら芸術的価値観というのがある人たちとは全く別世界に暮らしていると思える。文字通り世界が違う。
後日、原作も読んだ。「主人公の目を通してこの世界を見てみたい」とあった。芸術と共に生きている彼らにとって、世界はどのように見えているのだろうなあ。