Cinema Review

ウォンテッド

Also Known as:WANTED

監督:ティムール・ベクマンベトフ
出演:アンジェリーナ・ジョリーモーガン・フリーマンテレンス・スタンプ、ジェームズ・マカヴォイ

ただ「フラタニティ」とだけ呼ばれるその組織は、1000年ものあいだ、運命の織物が示した人物を忠実に暗殺し続けていた。全くもって何事にも駄目な男が、突然その組織に引き込まれる。君には超人的な力があるという。

原作はグラフィック・ノベル(コミック?)らしい。『The Sin City』もそうだったが、アメコミというかグラフィックを重視するものが原作になると、なんとなく格好良くなって良い。絵のはまり具合を優先せんがために筋書きを後回しにしたり、削り落としたりするところが良いのだろうか。僕の好みに合う場合が多い。この作品も結構良い感じだ。

この際主演のだめにいちゃんの話はほうっておいて。アンジー姉さんの話をしよう。
姉さん、格好良いんだけれど、えらい痩せてしまった。『トゥーム・レイダー』の頃の方が良かったかなあという気がするが、それにしても今回は怖すぎである。目線というか表情が。すごく痩せているところが更に「とりつく島がない」感を倍増させる。体中の入れ墨のどれが本物でどれが描いただけなのかちょっとよくわからないけれど、まあこの辺りも含めてうまいことはまっているのは間違いない。演技がどうとか言う話ではないような気がする。

予告やポスターなどで見る赤いスポーツカーの上でのけぞって銃を撃つシーンを含め、アクション・シーンはなかなかよろしい。弾道を曲げることが出来る、というショットも、そのあたりで出てくる銃器や弾丸のデザインもこれまたそれなりにはまっている。このあたりのアクションや設定がどの程度原作からやってきたものなのかわからないが、僕の主観ではマンガの世界ってのは結構こういう物語世界のディティールの作り込みが細かいものが多いように思う。神は細部に宿るとかなんとか言うようだけれど、こういう余りよく見えないところが厚みとなって全体に奥行きを感じさせるのだなあ(と思うのだなあ)。

いろいろツッコミどころが多いと思うが、これは逆に笑う所なんだと思う。たぶん米国の劇場ではあちこちの場面で笑い声があがっているのだろう。主人公が巻き込まれるアクションシーンで、「ごーめーんーなーさーーーい(英語で)」と言いながらパトカーを飛び越えるところではさすがに僕も失笑してしまった。いいねえ。

あとは細かいところ。

最初のアクションシーン(親父さんが頑張る)ではガラスを突き破るところで破片が顔に張り付いたまま(まるで『ファンタスティック・フォー』のロックみたいな顔になって)スローになるシーンがあるが、ここはすごく決まっている。恐らく原作の絵がこういう構成だったんじゃないかと想像してるんだけど違うかなあ。

相変わらず何も知らずに見ているので、後半にテレンス・スタンプが出てきてびっくりした。ここにそれを出してくるとはすごいキャスティングだ。神父さまですか。雰囲気あるなあ。

最後の方で主人公の保険会社のキュービクルの名札の一つに M. Miller とあったのだけれど、どうもエンドロールに原作だかプロデュースだかで上がってきた名前が Mark Miller だった。ははは。次に見る機会があれば他の名前も探してみようかなあ。

Report: Yutaka Yasuda (2008.11.02)


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