rage ウィルスによって壊滅したロンドン。28週間後、安全宣言が出され、人々が街に戻り始める。しかしウィルスは完全には消えていなかった。
前作『28日後...』の続編。監督ダニー・ボイルは今回製作総指揮に回っている。しかし脚本が同じアレックス・ガーランドであるせいか、テイストはほぼ同じものを感じる。
で、このテイストが、なんというか容赦がない。ひどい(悪いという意味ではない)。ストーリーは脱出行なので、本来救いがある、あるいはどちらかというと希望を持ちながら観る構成なのだが、エピソードはどれもこれもひどい。
つまり残酷な人選によって、観客が最も感情移入しそうな人から襲われていく。なんと言うことだ。観客の感情をサディスティックに裏切るわけである。監督あるいはダニー・ボイルはサドなのであろう(悪いという意味ではない)。きっと。
二点。
大声で叫びながら全力で駆けてくるゾンビ、というのは強烈に怖い。前作で見慣れてしまったということもない。このゾンビ像を生みだしたことは前作『28日後...』の最大の功績と思う。
感染者が28週で腹を空かして滅びてしまい、ウィルスも消えるというのは現代の話としてはちょっと簡単すぎて納得できない。この作品では発症しない感染者(キャリア)が登場して再びパンデミックが始まるわけだけれど、これはウィルスの行動としてはごく普通のことで、誰でも予想が付く。自然は常に例外を作りながら生き延びていくためのリスク分散をしている。オーストラリアのウサギ駆除は失敗したのだ。もうちょっとうまくこのあたりのことをうまく背景に取り込めないかなあ。
あとおまけ。『トロイ』で出ていたローズ・バーンが今作では全然色気のない役で出ている。彼女は美人に見えるときとそうでない地味なときの落差が激しいようで、今回僕は彼女のことがわからなかった。
それから、更に続編、『28ヶ月後...』が検討されているようだ。まさか『28年後...』もやるのか?ダニーよ。