18世紀のパリ、全ての香りを嗅ぎ分けることができる驚異的な嗅覚を持つ男は、遂に人を惑わす魔法のような硬水の調合に成功する。この男の数奇な運命を描く。
本当は劇場で見たかった。このところ劇場に行けなくて残念だ。そのためDVDで見たが、いや、やはりスクリーンで見るべきだった。映像の美しさと、映画の面白さがいっぱい詰まっていたから。
一つだけ書いておきたいのは、ストーリーテリングの演出だ。僕はこれを見て『デリカテッセン』を思い出した。ジュネ&キャロだ。映像のせいだろうか。ナレーションが随所に入り、皮肉なアクシデントがピンポイントでストーリーにスパイスを効かせているあたりだろうか。その点では『アメリ』を思い出すのが妥当な気がするんだが、なぜか大昔に見た『デリカテッセン』が頭に浮かんだ。似たようなテイストを感じたのだろう。
とにかく好みの映画だった。
映画は香りを伝えることができない。だからこの作品は観客の脳内で再生される部分が他の映画より大きい、と言うことになる。映画の本質は脳内で再生されるファンタジー(幻想)にあるのだから、それで良いんだと言えないこともないが。