Cinema Review

ただ、君を愛してる

監督:新城 毅彦
出演:宮崎 あおい、黒木 メイサ、玉木 宏、上原 美佐

(なし)

実にアブストラクトに何も書けない。単なる地味で不器用な大学生カップルの出会いから別れまでを描いただけの、そんな映画だ。僕が見るはずもない映画なのだけれど、ツレが劇場の予告で引っかかり、結局レンタルして見た。もし宮崎あおいでなかったらぼくは見なかったかも知れない。いや、黒木メイサに引っ張られた方が大きかったか。

が、途中からちゃんと見た。ストーリーとしてはそんなに引きずられるような種類のものではなかったかと思うので、やはり宮崎君に引っ張られたということだろう。他の出演作も見ているが、本当に彼女はずーっと見てしまう。面白い女優さんだ。ちなみに今回のキャストは年齢不詳な部分のある役だったので、その意味では彼女に合っていたというのも忘れず書いておこう。まあそれを越えても良いキャストだったと思う。地味でダメっぽい時と、メガネを外したときのかわいらしさのこのギャップは彼女ならではないか。

黒木君は映画出演作は実はこれが初見だったりする。宮崎君の役とは正反対に、画面の真ん中で顔をまっすぐ出して、ぴたっと止まって写る。役者も演出も素人みたいな絵面なんだけれども、そんなわけはないので狙い通りなんだろう。逆にそういう絵に耐えるパッとした美人が欲しかったんだろうなとは思う。まま、個人的には黒木君大好きなのでなんだっていいんだ。うんうん。

写真趣味をベースにしたストーリーなのだが、僕も一時期(まあ80年代高校生あたりは良くそうしたもんだけど)カメラを使うことがあった。偶然にも映画で登場するカメラが AE-1、僕がずっと長く使い続けたカメラだ。ただし僕の使っていたのは宮崎君のモデル(+program)の先代タイプだけれども。
いずれにしても懐かしい。そして写真を撮っているシーンのフレーミングが良い。そうそう、写真撮る人だったらそう切るよね、という絵がなんとも良い。同じことを『リバーランズ・スルーイット』でも感じた。魚を釣る人ならそこを見るよね、そこ、という話だ。

このあたりの共通の経験をもつものの「ふふふ」というところはやっぱり面白い。そう思うと本来のこの映画のメインストリームである恋愛体験を共有する人にとっては、かなりグッと来るもんなんだろうなと思う。僕自身がそこに引っかからないのが何ともなんだけど。

Report: Yutaka Yasuda (2007.11.30)


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