かつては優秀だったが、いまや定年間際の窓際族となった刑事に裁判の囚人移送が命じられる。わずか 16 ブロック先の裁判所が、しかし戦場となる。
リチャード・ドナーと言えば『リーサル・ウェポン』か。実は『オーメン』『レディホーク』もそうだったりするが、しかし『グーニーズ』『スーパーマン』と言った方がしっくりくる人は多かろう。つまりそういうイメージの監督だ。
が、この作品はそういったお気楽(?)アクションの色も残しつつ、実は結構渋かったりする。
その渋さがこの作品の良いところ、ではないかと思う。そう。実は僕は結構気に入ってしまったのだ。
まあブルース・ウィリスのモーロク振りが実に決まっててよろしい。どうした『ダイ・ハード』の世界で最も不運な警官殿!と声を掛けたくなるくらい、とにかくボロい。ボロボロヨロヨロである。が、そこがいい。リチャード・ドナーとブルース・ウィリスでこのヨロヨロ具合いですか!というくらいにウルトラC的着地なのではないかと思う。(ハリウッド的にプロデューサーがこの監督・主演でこの演出、と最初から決めていたとしたらなかなか面白い。)
デヴィッド・モースの悪役振りもよろしい。
最後に、絵としては街並みの雰囲気が良かった。それが本当のニューヨークなのか、また雰囲気としてニューヨーク的なのか、そうでもないのか、そのあたりは行ったこともないので良く分からないけれど。
カメラの視点が常に人の目線の高さにあるというか、こういう臨場感が得られる映画も良い。