Cinema Review

オープン・ウォーター

Also Known as:Open Wator

監督:クリス・ケンティス
出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラヴィス

ダイビングに出かけた二人。水面に出てみると、そこにはもう船はいなかった。サバイバルが始まる。

ひどい映画だ。前評判がそれなりに高かったと思うのだが、それにしても救いがない。ダイビングに出た男女が海に取り残され、互いに徐々に自我の喪失に陥りながら、互いに支え合いながら、しかし最後は鮫に食われて海に消えていくという、実に救いのない映画である。これがある程度評価が高かったというのだから、さて映画というのは一体なんだろうなと思ってしまう。

映画というのはただの心理学実験室なのだろうか。ショック・ムービーに思うこともそれと同じだ。伝えたいメッセージはなんだろう。作品を見る前と、見た後で、僕らの精神、考え方は何がどう変わっているんだろう。ただ見てギョっとなり、劇場を出たらああ解放されて良かったと思うだけなら、見る前と見た後で何も自身に変化がないのだとしたら、果たしてその映画は見る意味があったんだろうか。その映画には価値があったのだろうか。

芸術は人に奉仕するべきものなのか、ただ存在することに価値があるのか、僕には実のところよく分からない。科学同様、その両極の立場があるだろうなあと漠然と思う。ただ見た直後の僕の感想は上に書いた通りだ。何とも。

Report: Yutaka Yasuda (2006.05.17)


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