Comic Review

監督不行届

作者:安野 モヨ子

安野モヨ子の結婚生活マンガ。ちょっと普通と違うのは夫が庵野秀明だということ。そりゃかなり普通じゃない。

庵野秀明が結婚したという時点で相当にただごとではない。僕は安野モヨ子のマンガを読んだことがないが、とてもではないが庵野秀明の妻として推測できるような作風ではないと言う。えらいことだ。一体何が起きたのだろう。そして一体何が起きているのだろう。

そこへこの漫画が出た。こりゃ読むしかない。僕自身、同居人の影響でけらえいこの『セキララ結婚生活』あたりのシリーズをかなり楽しみながら読んだし、好きだ。このマンガもある意味そうした私生活マンガとして買った側面もあるが、しかし庵野秀明という特異な、まったく特異なオタクを描くという点で「普通の新婚家庭マンガ」とはかなり違った趣となっている。

登場人物は「ロンパース」(ロンパースは乳幼児向け上下つなぎの服)として幼児化して描かれる妻、安野モヨ子と、姿は大人だが徹底的に幼稚化して描かれる夫、庵野秀明。内容的にはロンパースがオタ嫁(オタクの嫁)として修行を積む日々を淡々と描くという、恐るべき家庭内マンガである。

庵野秀明は僕とほぼ同世代(彼の方がほんの少し上)で、彼が大阪芸大在学中に自主製作していた数々の映画を当時高校生だった僕は見ている。さすがに上映会などで実写されたのを見たことはないが、仲間うちで VHS テープにダビングしたもの(元は 8mm や 16mm)を回し見していた。(すたじおぬえとか、懐かしいなあ。)
その後の彼を僕は余り見ていない。「マクロス動きましたね」とか「巨神兵気持ち悪かったなあ」くらいのもので、彼自身の作家性が出た作品などは全く。『トップをねらえ』も見ていない。『エヴァンゲリオン』だって放送後かなり経ってから、僕よりはるかに若い世代の知人連中が僕の自宅で勝手に上映会をやってくれたときに何編か見た程度で、ストーリーなど全く知らない。「アンビリカルと言う割には背中にヒモが付いてるねえ」などと言ってたくらいだ。(だが『ラブ&ポップ』は見た。)

最近彼は何をしてるんだろう。次に庵野さん、何をするんだろう、と思っていたらニッサンのコマーシャルなどに出てきたりして。ん?なにやってんだこの人は、と思っていたら、なんとこんなところでマンガに書かれてたりして。まあ楽しみにしています。次に何をしてくれるのかなと。

Report: Yutaka Yasuda (2005.07.04)


[ Search ]