あらすじは、、、無い。はっきりいって無い。ばらばらである。
関口監督は CM 業界の人だそうな。この作品の企画である多田琢も同じく CM の人。CM がベースの人というと『鮫肌…』の石井克人さんを思い浮かべるが、なんと石井さん、劇中 CM の一部を演出しているらしい。キャスティングがかなり面白いのだが、このあたりも恐らく TV CF という非常に多くの人たちと一緒に仕事をする機会の多い分野で実績を重ねてきたことから来ていると想像。
「What is your function...」とドえらい訛りでビニー君に聞かれたらたいてい誰でもビビって変なことを答えそうなんだけど、浅野君が即答で「いや特に無いですけど」と答えていたのが秀逸。彼にしかできない演技(?)だと思う。大好きだ。彼が窓から飛び降りるところも実にあっさりとしていて、彼のこのすっとした感触は本当にセリフ、動き、空気として『FRIED DRAGON FISH』から一貫して続いている。不思議なことだ。
小ワザのやたらに多い映画だった。鮫肌もわけのわからない小技があちこちに入っていて、このあたりの遊んでるセンスは何となく最近よく感じる。逆に大技は無い。最後に浅野忠信をかっさらっていくシーンにしても大技というわけではない。映画というのは全体の流れ、ストーリーの構造や見ている側の感情の動きを下敷きにして、仕掛けられたある一瞬で見ているものの何かを大きく変化させることができるメディアだと僕は思っている。山田洋次、黒澤明までとは言わないまでも、そういう大技はこの映画にはなかった。まあ大技が全く似合わない映画もあるだろうが、『鮫肌…』『Party 7』にこの作品と、CM 分野の人の作品でそうしたカタルシスというか何かを感じにくいものが並んでしまった。何かちょっとある種の傾向を感じてしまうではないですか。
さて例によって美人には弱いです。橋本麗華は『白痴』にも出ていたそうで。実に美人。文字通り均整の取れた体の線に釘付けにされてしまい、本編観賞中、僕はときどきCMのように挟み込まれる彼女と浅野君の格闘(?)シーンを楽しみに待つようになっていました。