Cinema Review

スウィングガールズ

監督:矢口 史靖
出演:上野 樹里貫地谷 しほり、本仮屋 ユイカ、豊島 由佳梨、平岡 祐太竹中 直人、白石 美帆、大倉 孝二西田 尚美谷 啓、岩佐 真悠子

夏休み。補習をさぼるためにいろいろやっているうちに、なぜかジャズに目覚めた女子高生たち。スウィングするのだ!

矢口さんの映画だ!素晴らしい!

裸足のピクニック』『ひみつの花園』『アドレナリン・ドライブ』と転落ムービーを見せてくれていた矢口さん、なぜか『ウォーターボーイズ』でサクセス・ムービーを作った。で、本作はというと再びのサクセス・ムービーなのだ。

が、僕が大好きな矢口さんというとあのものすごいチャチな「特撮」オチだったりするわけだが、これがまたしっかり収められていた。過去には人間真っ二つとか、アパート床抜けとかを大胆にやっていた監督だが、今作では突然の自転車大回転。劇場で僕はくっくっくっくっと笑ってしまった。やはりこれはもう「矢口中毒」というわけだ。

ちょっとまじめに書き直すと、つまり矢口さんはあの悪い冗談としか思えない墜落ムービーのエッセンスを、一般受けするサクセス・ムービーに本作でうまく取り込んで仕上げたというところ。別に一般ウケする映画だけが良いわけでも、そうでない映画があかんわけでもないんだけれど、矢口さんとしてはこれで自己のテイストと一般的なウケを両立できる枠組みがひとつ見つかったのではないかと思う。
キャストもすごくまともな上野君だしね。もちろん西田尚美眞鍋かをりをあんな使い方で落っことした矢口さんのことなので、本作の上野君もかなりすごい。ずーっといわゆる変顔(へんがお)で通していると言っても良いくらいだ。(そう言えば石田ひかりは余り落っことさなかったな監督。好きなタイプなのか??美少女突き落としと言えばダリオ・アルジェントジェニファー・コネリーを泥池にドボン。)

上野君は『ジョゼと虎と魚たち』ではまったくアイドルタレントさん的配役だったのに、『チルソクの夏』と本作で続けてものすごい顔をしてるのが印象に残る。これでいいのか?という気もするが、まあ『ウォーターボーイズ』でも眞鍋かをりをどえらい格好で使ってたくらいだから監督にとっては普通なのか。一生懸命走る姿も、大笑いする姿も元気が溢れていて楽しい。良い女優さんになってくれるかなとひそかに期待。矢口さんも継続的に次作に期待。まあ好み、ということですね。

Report: Yutaka Yasuda (2004.09.25)


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