19世紀ロンドンを舞台にしたスチーム・パンクSF。
スチームボーイを見た。もう見たとしか言いようがない。10 年ほども前からこの話を聞いていたように思う。そのくらいから最初の頃の映像を見ていたようにも思う。実際どうだったはわからないが、とにかくすごく長い準備・作業期間を経て公開されたはずだ。大友さんにありがちなこととは言え、それにしても長い。コンピュータによる支援を多用した作品だけにこうした予測できない作業時間の延びというのは相当に痛いはずなのに。
もう見たとしか言いようがない。これといって特筆すべきものは、、なんだろう。絵が細かく、がんばって描いたなあ、とは思うが、映画というのはそれだけではない。声は、、鈴木くんは結構わるくないかなと思ったが、小西くんは極めて謎だ。僕は小西真奈美の声は結構好きなのだが、しかしここでは彼女の声の良いところは特に何も出ていない。他のおじさんたちもどうもあまり。それぞれ癖がありすぎる声?なのだろうか?
(なお鈴木くんは昨夜テレビで『リターナー』をやっていたのでちょっと見た。やはり結構中性的で悪くない。映画は、、僕の趣味ではなかったけれど。邦画にはすごい映画がときどきあるなあ。)
声だけでなく、ストーリーも、動き(流れ?)も、なにもかもぱっとしないと言うか集中力が無いというか、ピンと来ない。何かやりたかった枠組みがあったが、それにうまくこの作品世界がはまらなかったのか、製作手法(CG と手書きセルアニメをかなり面白いところで合わせている)の制限事項が意外に厳しいものだったのか、なんらかの制約が製品をこじんまりさせてしまったようにも見える。もっと思い切り、伸び伸びとやっても良かったように思える。大友さんのマンガはもっと(文字通り)ドラマチックだよ。
大友克洋のマンガを読んだことがあるだろうか?『気分はもう戦争』でもなんでもいいから。もし読んだことがあれば、この映画の中で何度か描かれるギャグをギャグと認識できるだろう。もし読んだことがなければ、や、それは結構辛かったのではないか。。。。つまり「浮く」のだ。
(ちなみに『AKIRA』はあまりこのギャグが出てこない。)
どうにも着地点が見えない作品だった。しかしもちろん見るしかない。大友さんの映画だし。見るしかないのだ。そしてとにかく見たとしか言いようがなかった。クローネンバーグ作品のようだ。何よりも見ることが重要、という変な思い入れもたまにはあっていい。