ウソとペテンで塗り固めたような軽薄な毎日を送る個人PR屋の前で、電話ボックスの電話が鳴った。その声の主は電話ボックスから出たらおまえを殺すという。男はライフルで狙われていた。
劇場でこの予告編を見た。しかしロードショーを見逃してしまった。失敗したと思った。今日、DVDを借りて見た。本当に失敗だったと分かった。傑作だ。早くも今年最高のヒットかもしれない、と思う。
これは何と言ってもシナリオ(または企画?)の勝利ではないか。脚本はラリー・コーエンとある。余り細かくこうしたことを押さえてるわけでもないし、実際彼の履歴を見ても僕が見た作品はほとんど無かった。しかしキャリアは長い。撮影も非常に重要なファクターに違いなく、非常にうまくやっていたと思う。カッティングと合わせて、実に無駄なく、ずっと集中し続けてこの密室劇のような映画を見た。そして当然、最大の成功要因はコリン・ファレルの熱演に間違いない。素晴らしい。ほんの一瞬しか姿を見せないキーファー・サザーランドの抑制の利いた声も良いし、他にも多くの要素があるだろうがしかしとにかくコリンが素晴らしい。
本当に失敗した。これは劇場で見るべき映画だった。決して DVD で見てはいけない。そこから逃げられない恐怖感を、劇場の椅子にくくりつけられて見るべきだ。その 80分を僕は逃してしまった。残念だ。