Cinema Review

テープ

Also Known as:TAPE

監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ユマ・サーマン

モーテルで古い友人と再会した男。二人の間で、微妙に噛み合わない話がはじまる。

三人だけの密室劇。カメラはモーテルから一歩も出ない。きわどい立場に追い詰められていく男。見ていると何故かどきどきする。まったく居心地が悪い。僕は精神的に追い詰められるのがひどく苦手で、ひどく嫌だ。なぜこの男は逃げ出さないのだろう。どうして明白に悪意があるのに悪意で対抗しないのだろう。

誰がほんとうのことを言っているのかわからない。男も、女も。

この同じ追い詰められ気分と似たような気分をどこかで感じた記憶がある。『FOCUS』だったか。『デリカテッセン』の初見でも感じた。『ファイト・クラブ』(の前半!)などの一連のデビッド・フィンチャー作品を劇場で椅子に括り付けられて見ているときにも感じる。

モーテルの中の出来事をただひたすら同席するように追い続けるハンディカメラの粗い映像。見ている側を傍観者ではいさせない異様な臨場感がたまらない。文字どおり息詰まる 87 分。実に良い長さ。

Report: Yutaka Yasuda (2003.10.26)


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