Cinema Review

ミニミニ大作戦

Also Known as:The Italian Job

監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:マーク・ウォールバーグシャーリーズ・セロンエドワード・ノートン、セス・グリーン、ジェイソン・ステイサム、ドナルド・サザーランド

金庫破り稼業の父親に対して反感をもつ金庫屋の娘。父親の仲間、その裏切り、復讐。軽快なリズムで進む佳作。

その昔の同タイトル映画のリメイク。原題も『The Italian Job』で同じ。というか、この昔と同じ邦題をつけた配給会社は結構洒落っけがあっていいなと思う。

作品自体もまたおしゃれな感じでグー。シャーリーズ・セロンは見た覚えがなかったんだけれど、いやいや結構よろしい。先日テレビ放送でやっていた『マイティ・ジョー』も思わず見てしまった。

事実上の主演はサエないマーク・ウォルバーグではなく、このシャーリーズ・セロンではないだろうか。作品中、シャーリー君はいつも旧型のミニを走らせている。もちろん30年前の原作で走り回るのはこの旧型のミニ。本作で金塊積んで劇走するのはモデルチェンジした今のミニ。シャーリー君がビュンビュンと走らせている旧型のミニは前作への敬意のあらわれか。それにしても小気味よくキビキビ走る。もちろん金塊を積んで脱出に劇走する新型ミニもキビキビ、クルクルとよく走る。カーアクションは全体を通じてセンスよく、リズム良く、全体の物語の進行とうまくシンクロしている。

そう、この作品の良さはこのリズム感なのだ。

そしてこのミニという車のキビキビした走りのキャラクターは、シャーリー君演じる主人公のキャラクターそのものだ。ある種、車に人格を与えているわけで、このあたりの感覚というかセンスがこの作品の骨になっているのだと思う。制作者側の思い入れが骨になっているということか。

で、キャストを見るとわかるように、まったくもって豪華な脇役陣だ。脇役の顔ぶれが良いと、なんとなくそれだけで楽しく見られるかどうかが決まるような気がする。特におじさんが生きてる作品はいい。『ペイバック』なんかはメル・ギブソンが一段ずつ上の顔役にアタックしていく過程で役者もどんどん大御所になっていって、それが実に面白い。最後はジェームズ・コバーンだからねえ。

この作品でも脇役陣が光っている。『Snatch!』『トランスポーター』のジェイソン・ステイサムもいい。サザーランドは良いキャスティングだった。完全に悪役というわけではなく、娘に愛されながら悪行をやめないという複雑なキャラクターをうまく表現している。そしてオッサンばかりのなかで、シャーリー君がまた紅一点、光っている。マーク・ウォルバーグ、エドワード・ノートンは二人揃って実に地味なので、明るく健康的なシャーリー君が実に良く映える。(それで良いのかという話もあるが)
その脇にはいつでもミニが控えてる。

この全体の構図ができた時点で、この作品は出来たも同然だったんだろうねえ。

Report: Yutaka Yasuda (2003.07.28)


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