中国からパリに来た優秀な捜査官が、悪行の限りを尽くす警部の罠に掛かって一転、追われる立場となる。アクション映画の快作。
カッチョイー!
その一言がすべてだ。これぞアクション映画の王道。実にかっちょいいのだ。ジェット・リー(リー・リンチェイ)というのはこんなにカッチョ良い俳優だったろうかと思う。振り込む腕が、脚が、実にしなやかに動く。もはや理屈抜きだ。体の動きにシビれるのはブルース・リー以来、という気がする。子供の頃に見た、というのと例の「怪鳥音」などの人間離れしたところで結局はブルース・リーのインパクト勝ちなのだが、しかしそれでもカッチョ良いー!
僕は拳法などを全然知らないので何ともわからないのだけれど、相手の打撃を受け止めるジェット・リーが、そのコンタクトの瞬間ごとに足場を固めてたりして、何となくリアリティを感じてカッコ良さ倍増。なんだか『APPLE SEED』のアクション場面を思い出した。あのデュナンとテロリストとの格闘をひとコマひとコマ、生身の肉体で再現している感じだ。
橋の上から撃たれるシーンでもちゃんと不規則蛇行して走っており、これまたなんだかリアリティを感じてステキー!
チェッキー・カリョも絵に描いたような悪人と、時おり見せる真人間の顔、その二面性がまた余計に怖い。僕は確か『ニキータ』でしか彼を見ていないが、何と言うか抑えたところがグーだ。ところで『レオン』のゲイリー・オールドマン警部もキレて怖かったし、また極悪非道な奴だった。ベッソンにとってのパリ警察ってこんな印象なのか?
またこれもベッソンの関係する作品におおよそ言えるような気がするが、端役になればなるほど悪人は悪人、駄目男は駄目男としていい加減に描かれる。ブリジット・フォンダもかなりなダメ女で、何というか作品にインパクトを与えていない。結局ジェット・リーとチェッキー・カリョの二人だけが目立つ映画となってしまった。
そしてラストはこの二人の対決となる。この殴り込みシーンは実にわざとらしいのだが、それがまたカッコ良い。パンフレットによると「高倉健の映画の殴り込みを意識した」んだそうで、なるほどなるほど。
殴り込みシーン最初の被害者、門衛のおっちゃんには気の毒だったが、ここの蹴り倒しアクションも決まってた。ブルース・リーも殴り込み最初の一人目はえらい痛い目にあってたっけ。
これでジェット・リーもブレイクするのだろうか?期待してるよ!
最後に少しトリビアなところに脱線。
・双子として出てくるアクション俳優、クレジットを見るかぎり双子でも何でもないみたい。まあ確かに体格は似てるけど顔はちょっと違う。一瞬『X-MEN』に出ていたカエル男かと思ったけどそれも違ってた。
・殴り込みの道場シーンで、あの「彼」が映ったように見えたのだが、うーん、気のせいか。(「彼」と言って分かるだろうか?『リーサル・ウェポン』『ゴーストハンターズ』『ダイハード』など幾多の作品に出ている怪しげな長髪ハゲ東洋人の、あの「彼」だ。)