Cinema Review

パーフェクト・ストーム

監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ジョージ・クルーニーマーク・ウォルバーグ

カジキマグロの漁師たちが帰路、巨大な台風に巻き込まれる。

ウォルフガング・ペーターゼンである。ペーターゼンと言えば『Uボート』である。暗いニビ色の海を撮らせたら右に出るもの無し、、かどうかは知らないが、まあとにかく本作も海の映画だ。大揺れに揺れる海をひたすら CG で写し、合わせて視界も揺れる揺れる。僕はビデオで見たからいいが劇場の観客はきっと船酔いしたことだろう。

Uボート』は実に優れたプロットによる名作だと僕は思う。とりあえず好きだ。しかし本作はそんなことはなく、筋書きは相当に薄い。添えものだ。まあ要するに今回は海を CG で作ってみました、こんなもんでどうでしょう、という実験作品だったと思えばいい。
感情移入できないほどバカな人物設定にしないためにか、時間稼ぎ(!)のためにか、いろいろドラマっぽいものを入れてはいるが特に必要ないと言えば必要ない。それより船がひっくり返る絵の方が重要、という感じだ。

ハリウッドの枠組みと言うのはそういう意味では実に寛容なところがあり、こうした作品がそれなりに成立してしまう。実験室的な部分が多分にある、ということだろうか。邦画も娯楽の王様だった頃はそうした余裕があったと想像する。今日、これから見に行く『電送人間』なども、きっとノリで見に行ったに違いない。当時の当人たちはそう思っていなくても、後から考えたらそうとしか思えない。結局『パーフェクト・ストーム』もそういう作品の一つだろう。良いか悪いかはともかく、ハリウッドの映画はそういう流れの中にいるということだと思う。

Report: Yutaka Yasuda (2001.08.25)


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