Cinema Review

花様年華

監督:ウォン・カーウァイ
出演:マギー・チャントニー・レオン

偶然となりの部屋に引っ越してきたために、互いの夫と妻が不倫していることを知ることになった女と男。

監督王家衛、撮影クリストファー・ドイルという組み合わせ。香港映画の中でも独特の雰囲気で謎な作品を提供してくれるペアだ。
今回の作品は当然ながら内容は無視して、映像だけを見ていた。1960年代の香港の雰囲気を出している、、らしいのだが悲しいかな1966年生まれの僕にはそれが良く分からない。それっぽいかなーと思うだけだ。

いやしかし。周辺のディティールはともかく、マギー・チャンが取っ替え引っ替え着てくれるチャイナドレスが実によろしい。当時の流行りなのか、高いカラーがついており、舞台の暑さから風通しの良さそうな素材で、どれも皆カットソーくらいの袖だ。
いったい何着替えたのだろう。20着くらいあっても不思議ではない。10は軽く越えていると思う。もしもっと少なかったらそれは撮影者のウデとして拍手だ。
チャイナで印象に残っているのは何と言っても『アベンジャーズ』でユマ・サーマンが着ていた緋のシルクなのだが、今回のザラッとした素材のドレスもいいねえ。

設定は、商社っぽい夫を持ち自身の仕事は社長秘書、子供無し。というもので、いやはや、そんな人隣にいるか?という気もするのだが、マギーはバッチリはまって実在感も高い。
対して男の方はどうにも。ショボい風貌、ダサい服(イッチョーラ?)、はっきりしない言動。どう考えてもこれでは「ただの間男」で、実に演出意図不明。

音楽の使い方は相変わらず香港映画だなあという感じで、個人的にはどうかと思うが、まあ様式として理解する分には受け入れられる範囲だ。
しかし物語はわからん。何がどうなっているのやら。登場人物に感情移入できる人はどれほどいるのだろう。置いていかれてしまった。

ところで今回のマギーは何故か吉永小百合の若い頃に良く似ている。何故だ。目のシャドーが思いきり上に引かれているのはこの頃の流行りなのか、この目元あたりに小百合ちゃんっ(そんな年ではないが)ぽさが見える。不思議。まあ年代的には本作の設定と小百合ちゃん時代は合っているのだが、しかし吉永さんは目にそんな化粧はしてなかったと思う。実は監督、サユリストなのか?

Report: Yutaka Yasuda (2001.08.01)


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