Cinema Review

ビートル・ジュース

Also Known as:Beetlejuice

監督:ティム・バートン
出演:アレック・ボールドウィンジーナ・デイビスウィノナ・ライダーマイケル・キートン

静かな田舎。不運な事故で死んでしまった若い夫婦。そこに移り住んできた超前衛的都会人。両者のたたかいがはじまる。

不覚だった。高校の頃、映画が大好きな先輩がこの作品について非常に良いと言っていた。でも僕は一度も見なかった。ティム・バートンだったから、というわけでもない。何故だか、偶然に見なかった。
先日、ふとビデオを借りてみてみたのだが、いや、これは良い。不覚だ。今まで見なかったのが実に悔やまれる。

この作品はティム・バートンのエッセンスを一杯に詰め込んだ、実に詩的な一編だ。『シザー・ハンズ』で見たような、無邪気に明るいおもちゃのような町で、普通の映画としての枠組みを追いながら、ドタバタの喜劇として幽霊が描かれる。

しかしすばらしく明るく、ポップな絵なのに、そこには何故か寒々しい空気を感じる。これこそティム・バートンの背景温度なのだと思う。
実に暖かい雰囲気のアレック・ボールドウィンも、珍しく(?)やさしいカントリー風のワンピースを着るジーナ・デイビスも、お人好しのオッサンも、エキセントリックなおばちゃんも、気色の悪いマイケル・キートンも、そしていつも真っ黒ドレスのウィノナ・ライダーも、皆この背景の前で彼の人形となる。この家はまるでティム・バートンのドール・ハウスだ。

最後に地上を離れ、舞い上がりながら歌うウィノナ・ライダー。その背中には糸が、壁の向こうにはティム・バートンの姿が見えるようだ。彼があやつり棒を動かしてウィノナに歌わせているその姿が。

Report: Yutaka Yasuda (2001.05.26)


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