ノゾキが趣味のオキタはそれで刑務所を往復している。父の遺言でノゾキ部屋完備のホテルへ行くが、そこにはキャプテン・バナナが待っていた。
不思議な作品だ。とりあえず他の何とも似ていないのは素晴らしい。
ポップという度を越して、キャラクター(出演者の個性)が極端にデフォルメされている、まるでアニメーションのような実写コメディだ。オープニングタイトルはアニメーションだが、これは石井監督がアニメーションと言う表現と、実写という表現にそれほどの境界線を引いていない事から来ているのではないか?
『ラブ&ポップ』で似たような印象を受けたが、庵野秀明もそうか。庵野氏も以前は 8mm や 16mm の実写を多く作っていた。
彼らは僕とほぼ同世代だ。石井氏は僕と全く同年。今後彼らはどういった作品を作るのだろう。
ただ、とりあえず個人的には期待していたほど笑えなかった。僕には前作『鮫肌男と桃尻女』程度の具体性が必要なようだ。この作品は笑うには抽象度が高過ぎた。他の人は笑えたろうか。
毎度の女優さんチェック的には小林明美さんがなかなかグー。ハスキーな声は趣味じゃないけど。
気が付くと本作は殆んど一部屋の中で話が進行する。それでも閉塞感など感じさせず、100分ほどでうまく切ったな、と思える。「もっと切れば、、」と思いがちな最近の邦画の溜飲が下がった。