Cinema Essay

年の瀬は映画な一日


年も押し詰まった12月30日、僕は映画のハシゴをすることになってしまった。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『ファイト・クラブ』『ラスベガスをやっつけろ』だ。三本ハシゴというのも大概だが、この並びでは更にまずかろう。もちろんジャッキー・チェン三本立てよりは問題ないと思うのだが、ハリウッド娯楽映画三本立てと同じくらい危険な並びに思える。

それほど多く映画を見ない僕は、当然ハシゴなんかした事がない。二本立てで見る事もずいぶん少なくなった。最近のロードショーは併映ではやらなくなった事もあるが、二本立てを見たのはせいぜい1980年頃までか。中学生の頃だったかに京都の三番館とも言えそうな劇場、京一会舘ジャッキー・チェン三本立て、とか、スターウォーズ二連発などを見た記憶があるくらいだ。近頃は何かの特集でもない限り、また誰かに連れられでもしない限り二本立てで見ることはない。
そんな僕にはこの三本立ては不安だった。連れていってくれる知人には「途中でリタイヤしても勘弁な」と予告した上で、朝から夜まで大阪を巡った。

ところが案外楽しく三本見る事が出来た。厭きもせずに。きっと上記の並びの順、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『ファイト・クラブ』『ラスベガスをやっつけろ』で見たからに違いないと思う。
最初の『ブレア』で酔うかと思ったのだが、実際には映像はかなりマトモで安心。続いてフィンチャーの絵に個人的に期待していたのだが空振り、逆にどちらかと言うとちゃんとしたハリウッド映画になっていてガッカリ。ラストの『ラスベガス』が妙にハマって、本当ならポット・ムービーなど退屈に違いないはずなのに実に楽しくドライブさせてもらった。途中の『ファイトクラブ』がそれなりにハリウッド映画で気が抜けたのが勝因か。

ともあれ、それぞれの感想はそれぞれのレビューを見て貰おう。久々にどっぷり映画に漬かった一日だった。楽しかった。何年かに一度、こんな日があっても、良い。

そうそう。どの劇場でか忘れたが、『ミッション・インポッシブル 2』の予告を見てしまった。トム・クルーズが後ろ回し蹴りをしてたりして「おや?」と思ったら、監督はジョン・ウーとのこと。きっと二挺拳銃で走ってくれたりするのだろう。炎も火薬もたっぷり使うのだろう。ブライアン・デパルマの次がジョン・ウーとは不思議な流れだ。
ジョン・ウーといえば、僕は何故か年末年始の地上波深夜映画で『ハード・ターゲット』を見た。別にジャン・クロード・バン・ダムはどうでも良いのだが、悪役一号としてランス・ヘンリクセンが出ているのが良かった。個人的に好きな俳優なのだ。声が良い。先日今度は『狼たちの午後』を見たが、そこにもランスが出ていた。若い。最後にアル・パシーノの相棒を射殺する刑事役だ。カッコいいぜ。

Report: Yutaka Yasuda (1999.12.30)


[ Search ]