Cinema Review

LAコンフィデンシャル

Also Known as:LA Confidential

監督:カーティス・ハンソン
出演:ラッセル・クロウ、ガイ・ピアースキム・ベイシンガージェームズ・クロムウェルダニー・デビートケビン・スペイシー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

バーで数人が惨殺される。事件は一見単純と思われたが、裏では大きな組織が動いていた。良いテンポの謎解き。

見たい見たいと思いながら毎度のように見逃してしまった映画である。結局ビデオで見る事になってしまった。映像的にフィルムで見るべきだった、というような作品ではないので、これで良かったのかも知れない。
が、内容的には好みの作品だった。ラストの立ち回りだけ余分だと思うが、まあこれはハリウッドの映画である限りは仕方が無いかも知れない。それ以外の部分で十分楽しめる娯楽作品だったと思う。

ところでこの作品の評判は主としてキム・ベイシンガーから来ているのではないかと思う。古っぽい雰囲気のあるドレスをとっかえひっかえ着てくれるのだが、それが良く似合う。彼女は高級(?)娼婦役なのだが、この雰囲気をこなせるのは果して他に誰がいるだろうか、とつい考えてしまう。ハリウッド映画にしては音楽が控え目だったように思うが、逆にそれが雰囲気を盛り上げていると思う。

だが、いずれにしても僕の注目点筆頭は彼女ではなく、主演の一人ガイ・ピアースだった。彼は『プリシラ』でマッチョな若いドラッグ・クイーンを演じていた。大きな声でしゃべりまくる(歌いまくる)彼はばっちり役にはまっており、他の役についたらどうなるんだろうか、という期待を持たせるに十分な、強烈な印象を僕に残していた。
今回彼は正義漢だがなぜか出世の虫になってしまった警官を演じる。クールだが熱い血を感じさせてくれてなかなか良い。周囲の人物が警官も含めてどれもこれも皆クセのある連中ばかりで、だからガイ君のまっすぐさはよく映えた。今後の活躍に期待したい。

オーストラリア出身の警官役といえば『マッドマックス』のメル・ギブソンか。骨のあるところが見える顔は、どちらも共通している。大地の国に生まれた男の顔はこういうものなのか。最近オーストラリアという国の名前を映画関連で良く見かけるような気がする。
アメリカの人達はオーストラリアという国に何を感じるのだろう。日本はある意味兄弟のない国なので、ちょっと想像がつかない。自分の出自が相対的に位置付けにくいというのは時々困る。

どんどん脱線して悪いが、物語の鍵を握るくせもの部長役はジェームズ・クロムウェル。彼は『ベイブ』のおじいさん役だった。この二作目が『ベイブ都会へ行く』で、監督は何とオーストラリア映画の星、『マッドマックス』のジョージ・ミラーだ。奇妙な連鎖を感じる。『ベイブ』は見たが、二作目は未見。ジョージ・ミラーのことだから、きっとベイブが成長して、グレて大きな悪ブタになり、「ぶひーぶひー」と大地を蹴って砂煙を上げて爆走しているに違いない。『13日の金曜日』のような面を付けてる奴もいるに違いない。

作品を想像できる落ち着いたレビューにするはずだったのだが、最後は落ちてしまった。申し訳ない。

Report: Yutaka Yasuda (1999.09.23)


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