若き女王アミダラの治める惑星ナブーは、通商連合との関係が極端に悪化。やがて通商連合側の罠に落ちて実権を奪われてしまう。調停役として派遣されていたジェダイの騎士クワイ=ガン・ジンとその弟子オビ=ワン・ケノービは、女王を救出して共和国元老院議会に向かう途中、砂の惑星タトゥーインに立ち寄った。そこで彼等は、強力なフォースを放つ少年奴隷アナキン・スカイウォーカーと出会う。
「スター・ウォーズ」シリーズ最新作にして、最初のエピソード。
まず断わっておくが、私は「スター・ウォーズ」シリーズに特にこだわりを持ってはいない。映画第一作目(エピソード4)は展開やテンポも早くて面白いと思うのだが、二作目、三作目は、何度挑戦しても必ず途中で眠気に襲われるダラダラと長いだけの映画という印象が強い。なので、今作もまるで期待せずに「勿体無いから、途中で眠らなければいいな」なんて思いながら観に行ったが、予想よりは面白かった。
まず驚いたのは、映像の作り込みの凄さ、楽しさ。この映画の真価が発揮されるのはやはり映像。色々と見慣れてしまっているので衝撃度は低いが、衣装デザインやキャラクター・デザイン、メカニック・デザインの一つ一つにこだわりを感じさせる。CGで作られた映像の作り込みの凄さも素晴らしい。グンガン兵とバトル・ドロイドの戦争シーンなど、各CGキャラクターの動きを把握する事はほとんど不可能である。各惑星のCG映像で作られる風景も、そのディティールによって実存感を醸し出して、観ているだけで気持ちが良かった。
ポッド・レースも迫力が有ってなかなか楽しい。まさにTVゲームと言った映像は、TVゲームに慣れ親しんだ人々には受け入れやすく、入り込みやすい映像ではなかっただろうか。
だからと言って、CGに関してまるで違和感が無かったか?と聞かれれば、否と答えるだろう。両生種族グンガンの首領・ボス・ナスなどはCGアニメーションの様な表情としか感じなかったし、他にもCG独特のテカりが至る所で気になった。でも、いままでの映画に比べれば、全く許せる範囲である。
チャンバラに関しては聞いていた程には凄いとは思えなかった。悪くはないが、血湧き肉踊るという感触には至らない。『座頭市』には当然及ぶべくもなく、『ブレード 刀』の圧倒的な迫力のチャンバラや、『ブレイド』のスピード感やミエの切り方にまさる部分も無く、新しい驚きの感じられない無難な仕上がり。特に役者の体の動きに関しては、明らかに格闘スタント出身のレイ・パーク演じるダース・モールが群を抜いて凄いので、他の役者が鈍く見えてしまうのが辛い。
後のストーリーを知っていると様々に想像が膨らむ設定というのも、違う言い方をすれば人間ドラマ的な醍醐味を観客の予備知識に頼りきっているという事で、どうかと思う。その結果、結局は導入部分だけの映画という印象が拭えない。
新鮮味の感じられない演出も気になった。鋭く心に突き刺さって来る演出が見られず、予測範囲内で全てのシーンがこじんまりとまとまっている様に感じる。妙に淡々とほのぼのしているのはこの作品の特徴だろうし、過激ではない映画が面白く無いって事でもないのだが、テーマ性や人間ドラマ、ストーリーが弱い映画で淡々とほのぼのされるのはちょっと退屈。まぁ、舞台がコロコロと変わるおかげで、そんなにひどく飽きさせられる事もないのだが。ストーリーや展開は無駄の無い作りをしているはずなのに、なぜか全体にのっぺりとした印象を受けた。
シリーズが好きな人はもう既に観ているだろうし、CGが好きな人も楽しめるはず。過剰な期待をしなければ、不愉快にさせられる事も無いし、無難に楽しい映画。
結局はビジュアル先行型の映画なのだ。観るなら、当然、映画館で迫力の映像をどうぞ。