Cinema Review

デスマシーン

監督:スティーブン・ノリントン
出演:ブラッド・ダーリフ、エリ・ポージェット、ウィリアム・フットキンス

巨大兵器企業チャンク社では、社長のケイルでさえ知らないプロジェクトが二つ動いていた。一つは負傷兵士の記憶を抹消して殺人兵器へと改造する計画。もう一つは主任研究員ダンテが勝手に進めている「デスマシーン」の計画。ケイルは会社の意向を無視して自らの研究のみに没頭するダンテを、社内情報公開の方針の一環として解雇した。だが、逆上したダンテによって重役の一人がデスマシーンを使って惨殺されてしまう。逃げまどうケイル。そこへ企業テロリストの三人組にまではち合わせてしまった。

ブレイド』のスティーブン・ノリントンの監督デビュー作。また、マッド・サイエンティスト、ダンテ役は『エイリアン4』『チャイルド・プレイ』でも悪役だったブラッド・ダーリフが演じている。
ブレイド』の感想を書いたついでに、こちらもビデオで見直してみた。

低予算映画だけにちょっとチープだが、なかなか個性的でスピード感の有る映像だった。この監督の特徴となりつつあるハッタリの効かせ方の面白さが絶品である。まさにジェットコースターに乗っているかの様な楽しさが味わえた。
また、コミック的なキャラクター描写は理解しやすく、目まぐるしく変化して行く状況を描くのには非常に効果的に思える。特にテロリストの一人、ユタニは個性的なバカキャラクターを存分に発揮していて良かった。

以上の様に矢継ぎ早に状況が展開して行き非常に面白い映画なのだが、それは実は映画の途中からの事である。最初の30分ほどは、非常に退屈なのだ。人物設定を提示し、お膳立てをする部分に当たるのだが、ただ地味にダラダラと時間が過ぎて行く感触を毎回覚える。
尺が長い事も気に掛かる。当時新人監督なのでしょうがないかもしれないが、長過ぎるなぁというカットが結構多い。
また、映画の中でほとんど生きてこないわりに、時間が裂かれている設定がある。ケイルの子供殺しの話だ。一応、ダンテがケイルに執着し付け入る為の設定なのだろうし、冒頭で会社の方針を情報公開の方向に持って行く為の動機にもなるのだが、それが無くてもストーリーは機能しそうだ。それよりも、この設定を説明し展開させる為に映画が停滞してしまう事の方がよっぽど気になった。
この監督は、これらの静のドラマ表現が苦手なのだろう。『ブレイド』でも似た様な部分で、似た様なモタつきを感じさせた。

欠点も多いし、見終わった後、何かが残るというタイプの映画では無いが、見ている瞬間は非常に楽しめたし面白かった。B級SFアクションに抵抗が無いなら、見ても良いと思う。

Report: Jun Mita (1999.07.23)


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