ヴァンパイアと人間の混血として生まれた男、ブレイド。彼は人間を脅かすヴァンパイアを抹殺する為、ヴァンパイア・ハンターとして生きていた。ある時、女医カレンがヴァンパイアに襲われた。ブレイドは彼女を仲間のウィスラーの待つアジトへ連れて行き命を救う。その頃、ブレイドがターゲットとする人間上がりのヴァンパイア・フロストは、ヴァンパイアの神・マルガを復活させる事で世界制覇を企んでいた。
『デスマシーン』で監督デビューしたイギリス人監督スティーブン・ノリントンによる、二本目の監督作品。自ら製作を担当していたウェズリー・スナイプスが前作を見て、そのセンスや完成度の高さが気に入って本作品の監督にプッシュしたそうだ。
面白かったと思う。実にカッコ良い。
ウェズリー・スナイプスは学生時代にマーシャルアーツをしていた事があるらしく、体の動きはたまに重たいなと感じさせつつも、なかなかの物だった。
そしてそのアクションを強調するのが、バリバリにハッタリを効かせる演出と絶妙なセンスの映像。この映画の素晴らしさは、この演出・映像のセンスに集約されるだろう。非常に細かく繋いだカット、インパクトを与えるグロテスクな描写、早回しによる異常なスピード感、そして実にタイミング良く入るキメのポーズ。また、この映像センスはアクションシーンに留まる事なく、この監督にかかると、ただ歩くだけでもスリリングな映像になってしまう。夜のシーンが多いという設定の為の、街の風景の早回し画像も有りがちだが気持ち良く映画にスピード感を与えている。
『キングダムII』『マイ・プライベート・アイダホ』『ユナイテッド・トラッシュ』等で異彩を放っていたウド・キアーが出演していたのも嬉しかった。かなり大人しい役どころ・演技だったが、独特の品の良さと悪さを同居させている奇特な役者なのでエリートヴァンパイア役(『処女の生血』でもドラキュラ役)は、非常にはまっていた様に思う。
ウド・キアーが出て来た段階で変な期待をしてしまったので、かなり物足りなかったが、死に方は流石!かなりグロテスクで、かつ色気が漂っていた。このシーンは背景の朝日も美しいのでかなり気に入っている。
ただ、前述した様に、異常にハッタリの効いたシーン・映像がこの映画の最大の魅力だと思うが、中盤では同じ監督が撮ったとは思えない様なダラダラした映像が連発される所が有る。ストーリーテリングの為かも知れないが、そのせいでスピード感が著しく失われてちょっと眠たくなってしまった。
そのストーリーにも深みや広がりはほとんど無かった。まぁ、飽くまでアクション映画なのでアクションシーンを楽しく美しく見せてくれさえすれば良いのだが…。
後、CGが浮いていたのも辛い。質感が余りにもツルツルしていて目立っていた。
特に、フロストが銀の弾丸を直前で避けるシーンでの銀の弾丸にはちょっと興醒めした。スローモーション(だったと思うのだが)でなければ、まだ目立たなかったかも知れないのに。他にも、ガイコツがちゃちいとか、血がピカピカしているとか、結構気になる使われ方が多かった。
ラストシーンは2パターン作られていたらしく、ボツ版はフロストが巨大化する内容でバリバリにCGが使われていたとの事だが、ボツにしておいて本当に良かったと思う。
また、音楽はもうちょっと激しくても良かったかも。音楽の趣味としては好きなんだけど。個人的に気に入っているDJ KRUSHの曲が流れた時はちょっと笑った。
最後に余談かもしれないが、オープニング直後のクラブのシーンが実に面白かった。表現が面白かったというのも有るが、なによりも見た瞬間に「あ、これ、『デビルマン』?それとも『フロム・ダスク・ティル・ドーン』?」と思ってしまったので。閉じられた空間で周りが全て怪物化して行き、場がまさに血みどろになって行く…という状況がまさに。全く違う表現になっているので、悪い意味では無く、ただ面白かったというだけなんですが。「血のシャワータイム」なんて、久しぶりに「エグ過ぎる設定やなぁ」と喜んでしまいましたし。後でパンフレットで確認するとやはり永井豪が好きとの事。やっぱり。いいなぁ。
アクション映画が好きなら見て損はしないと思う。目は痛くなるけど。