ビデオの呪いからなんとか逃げられた浅川とその息子だったが、息子に異変が起こり始める。
なんだかなぁ。
各シーンで「良いなぁ」と思える所も結構有るんだけど。志津子の現れるシーンとか、ビデオ再生が上手くいかない所とか、精神病院で高野舞がシンクロして観てしまう横から見る貞子の姿とか。
しかし、最終的に非常に物足りない感触で見終える事になってしまった。特に、どういうスタンスでこの映画を受け止めれば良いのか、見ながら迷っていた事が辛い。つまり、見せ方や要素がバラバラで散漫な印象を強く受けてしまったのだ。
前作はストーリー上の恐怖をある程度犠牲にしつつ、構成上の恐怖と視覚・聴覚に直接訴えかける恐怖を目指していた。今回はそれに加え、ストーリーにも(前作に比べれば)重点を置こうとしたのが、中途半端になった要因の一つ。
もう一つ、人間ドラマ(被差別者の悲哀と恐怖)を描く為の浅川親子のストーリーと、恐怖を描く為の深田恭子のストーリーとか分離してしまっているのも辛い。この二つのストーリーを繋げるキーパーソンが柳ユーレイ扮するテレビディレクターだと思うのだが、浅川親子のストーリーでの存在感が余りにも希薄で、二つのストーリーが一向に噛み合ってこない。
しかも、そのままラストへと至ってしまう…。
このように、この作品は2重の分離を起こしてしまっていると強く感じた。
作家、監督としては同じものを作ってもしょうが無いと思ったのだろうが、にしても処理の仕方が他に無かったのだろうか。人間の奥深さを表現する方法として、ホラー・恐怖映画というのは、実はとても有効なフィールドだと感じている。実際に『ゾンビ』『CURE』『キャリー』などは人間を描く事にある程度成功したと考えているのだが。
また、映像のアイデアの面白さも、前作の方が確実に上だったと思う。
なんだか、直球過ぎる演出、カメラ位置、人物の立ち位置、だったし。
特に辟易したのは、恐怖演出の後に過剰に驚く出演者の演技を毎回挿入する事と、気持ち悪いものをハッキリと描き過ぎる事…。観客をナメとんのか?怖いシーンくらい、分るっちゅうねん。微妙な所で気付く怖さってのがほとんど無くて残念。
ラストの実験シーンもすごく安っぽい映像だった。
『リング3』が作られると聞いているので、この作品はもしかすると『リング』から『リング3』への橋渡しとしての機能を重視した結果なのかもしれない。そうすれば、散漫な事もちょっとは納得出来る。
とりあえず、単体としては非常に残念な作品でした。