見たものは1週間で死ぬと言う呪いのビデオ。それを偶然見てしまったTVディレクターは…。
この映画、結構好きです。
確かにストーリーとしての無茶が多いし、登場人物と観客との感情の同調が上手くいって無いシーンも多い。特に、井戸の中で貞子を見つけるシーンは観客にとっては恐怖シーンだが、浅川にとっては安堵のシーンになっている。ここにはかなりの違和感を感じた。所々、こういったシーンが含まれているのは、残念だった。
だが、それでもこの映画が楽しいのは、この映画は純粋に視覚、聴覚に直接訴えかける恐怖演出を徹底させた事によるではないだろうか。
絶妙な立ち位置、絶妙なテンポの編集のタイミング、画質を変える事で起きる違和感、完璧なタイミングの効果音の入れ方。「見せない」演出も効いている。 特に、ペンションの管理人室でビデオを見つけるシーンと、浅川の姪の死体を発見するシーンでの恐怖演出は出色の出来だ。
また、よく効果音で怖がらせてるだけの映画だと言われてるみたいですが、映画全体の音に対する設計がしっかりしているからこそ生きて来るのだと考えて欲しい。普段の場面で効果音や音楽を映像に被せないという約束ごとをしているからこそ、恐怖シーンでの効果音がより不気味で不可解な物に感じられるのでは無いか?
同様に、ラストの貞子出現シーンも、映画全体があのシーンの為だけに有る前振りとして機能しているからこそ、怖いのである。まるで機械仕掛けの様に機能する構成としての恐怖を、ちゃんと作り上げている。
見ていても、特に冗長と感じさせられるシーンが無く、飽きさせずに一気にラストまで見せるのは娯楽作品として非常に良く出来ている。
つくづく、恐怖映画として良く考えられ、練り込まれた作品だと舌を巻く思いです。
純粋に恐怖映画としてみれば、これは名作。
この作品に人間ドラマとしての深さを求めるのは、はなから間違いです。