生徒に人気の生活指導員が女子学生をレイプしたと訴えられる。ストーリーは二転三転し、最後まで結末がわからないサスペンス。
僕は最初ネーブ・キャンベルが出ているというので見る気になった。マット・ディロン、ケビン・ベーコンというただでさえB級映画の匂いが漂うところに『スクリーム』の絶叫ヒロインとくれば、なんだかソレっぽくって良いではないか。トドメに『スターシップ・トゥルーパーズ』のおねえさん、デニース・リチャーズである。『スターシップ…』の前半では「おっかわいいじゃないか」と思わせるのだが、何故か後半髪をあげるとイマイチ魅力半減して失速、しかも途中で死んでしまうという役だったので、ここで見直すのも悪くない。
そんな事を考えながら見に行ったら、案の定オープニングからばっちりB級映画だった。
ただし質的には悪くない。方向は違うが同じケビン・ベーコンの『トレマーズ』くらいにちゃんと見られる。
主演のマット・ディロンとケビン・ベーコンはさすがにベテランの雰囲気で、この二人がいるからこそ非常に安定した画面になったのだと思う。この二人を中心に、複雑なストーリーが展開していくのだが、それを違和感なく追えるのはやはり彼らのキャリアのなせるわざということだろうか。ここにいい加減な俳優を持ってくると、あまりにもリアリティが無くなってしまい、本当にどうしようもないB級映画になってしまったんじゃないだろうか。
もちろんこうした映画の場合プロットが最重要なのは確か。しかしそれも言うほど洗練されているわけじゃない。それを考えあわせると、この二人のベテラン俳優の偉大さ(?)がわかる。
洗練されてないと言えば、エンディングのオチで『ゴーストバスターズ』な弁護士が絡んでくるのはちょっといただけない。なんでも絡めばいいというわけじゃない。このしつこさというか、キレの悪さは『GATTACA』にもあった。『CUBE』もラストが小作りすぎて作品自体を閉じ込めてしまった感がある。これについては別に書きたいんだけどうまくまとまらない。ともかく、こうしたことが起きるのは何故なんだろう。
作品はB級、動機は不純。レビューもこれ以降はそういう方向になるけど勘弁してね、、と前置きしておいて。。
さて、この映画でのヒットは実にデニース・リチャーズである。金髪碧眼に厚い唇、丸みのある顔立ちと、実に良くできた小悪魔的お人形さんだ。その魅力を画面中に溢れさせて、ちょろちょろと実に良く出てくる。何はなくとも視線を集める引力の持ち主であるという点は重要だろう。次のボンドガールにソフィー・マルソーとともに選ばれたそうで、一般的にも注目されている事は間違いない。この作品でさえ相当にセクシーさを過剰に演出されていたので、その007映画ではきっとバクハツ的演出がされるのだろう。007シリーズの前作『トゥモロー・ネバー・ダイ』ではボンドガールといえる役が設定されていなかったから、製作側も次作はやるぜ!という気分だったりして。ともかく期待しておこう。
そして僕の不純な動機の元、ネーブ・キャンベルは今作では不良女子高校生役をやっている。『スクリーム』では善良および薄倖可憐な役だっただけに、ちょっと驚きだ。ただし彼女自身の雰囲気そのものがワイルドなものから遠いのだろう。ユマ・サーマン(未見だけど『カウガール・ブルース』の頃?)や、ジュリエット・ルイスなどから感じる「手が付けられない」という印象は薄い。熱演は認めるけれどね。
そして屈折した役といえばウィノナ・ライダーやナタリー・ポートマンが思い浮かぶ。ナタリー君はそろそろ高校生かとも思うが、ちょっとデニースと並べるといかにもおさなすぎる感じがする。それもそのはず、彼女もネーブ・キャンベルも高校生というには7つくらい年齢オーバーしている。先述のとおり二人とも高校生役で売っただけに、をいをいそりゃないだろうという感じ。ははは。
最後に、僕にはどうもこの作品のマット君がシュワルツェネッガーに見えてしまう。僕だけだろうか。何故か兄弟のように似ている。