平凡な女子高生が、なぜか坂道をころげ落ちるように不幸の底なし沼に落ちていく。
平凡だがちょっとズレてるOLが、突然5億円のために奮闘するコメディ、『ひみつの花園』の前作に当たる。矢口監督は、そこでもとんでもないシチュエーションとキャラクターを描いて見せたが、本作はその源流と言えるかもしれない。一歩間違うと学生自主製作映画かいなと思うような描写もあるが、残酷なまでにトコトン主人公を突き落とす冷静なテンポの良さは小気味良い。
途中で主人公がたどる不幸な出来事はどんどんエスカレートする。それぞれはまあ良いとして、僕はラストに驚いてしまった。をいをいそんなことで良いのか、それでオチかい?という不思議なラストで、これを見るとこの作品で監督が何を描きたかったのか全くわからなくなってしまう。『ひみつの花園』は見終った後にハッピー感があるからまだ良いのだが、この作品はそれもない。
そうそう。『ひみつの花園』でも、一箇所アゼンとするほどオモチャっぽいショットが一つあるのだが、本作でも同様のシーンが一つある。ストーリーが進むにつれ、もう大抵のことには驚かないぞと思っていた僕も、さすがにこれにはびっくりした。
ここで笑えるかさめるかに、本作を楽しめるかどうかの分かれめがあるような気がする。それは監督の観客に対する挑戦か、はたまたテストなのか。そっちに向かって挑戦しないでよ!
主演の芹沢砂織だが、どうも中原監督の『欲望だけが僕を殺す』(タイトルうろ覚え)の一編に出ていたような気がする、、、が、気のせいだろうか。