Cinema Review

相続人

監督:ロバート・アルトマン
出演:ケネス・ブラナー、エンベス・デイビッツ、ロバート・ダウニーJr、ダリル・ハンナロバート・デュバルトム・ベレンジャー


先日「相続人」観てきましたので、ちょっと感想を・・・。(ねたバレしないように全体的な雰囲気だけ書くようにします)

これはJ・グリシャムの映画用オリジナルストーリーということで、これまでのものとはどう違いは?というと、「映像あってのストーリーだな」という気がします。本で読むとちょっと退屈というか物足りない感じがするでしょう。でも逆にそれはアルトマン監督の「感性に訴える」という手法にかなりマッチした脚本ということも言えます。「夢」や回想シーンやうっそうとした森の中、というロケーションが幻想的な雰囲気を誘い、それから、特に後半で「嵐」という要素が非常に効果的で、観客に恐怖感を与えています。ストーリーの展開は(というかラストは)始まってからすぐに容易に読めるものの、それは気にならず(なんだ!やっぱり!と、がっかりもしません)むしろその過程が楽しめ、事件の裏にある、または枝別れしてるエピソードを通して登場人物のキャラが見えてきたりしてむしろ見所です。

またK・ブラナーが非常に巧かったのも見逃せません。ほとんど彼は出ずっぱりでした。以前から好きな役者ですが、とくに彼の「決してハンサムではないけど人の良さそうな外見にイギリス人特有のアイロニーを効かせたセリフや仕草」が、今回の敏腕で自信家ですこし間抜けなくせもの弁護士像にぴったりでした。それから、脇を固める役者もよくって、今までの(私が勝手に抱いていた)イメージを一掃してくれたダリルハンナ・・・もともと容姿からしてその要素はあったものが開花した感じで「かっこいい・できる」キャリアな女になってます。それからロバートデュバルはもう言うに及ばず圧倒的な存在感出してるし、かつて少しひかれた懐かしきトム・ベレンジャーが出番は少ないものの重要な役どころで出てるのは嬉しかったです。

リーガルサスペンスにありがちな「あれってどういうこと?」とかいう(とくになぞ解きに関する)疑問がまったくわかない極めてわかりやすい映画でした。かと言って薄っぺらでなく、むしろ人間ドラマに徹したのがよかったかも知れないです。個人的には一発逆転のどんでん返しを期待してるんですが、そうするとこちらもある程度予想したりして、するとよほどのものでないとがっかりしてしまう・・・というのが最近の傾向でした。サスペンスの見方に疑問を持っていた時、というかサスペンスが食傷気味なのかな?などと思っていた時にこの映画を観たので「目からうろこ」状態で(大袈裟かな?)「これってかなりおもしろい!」って思えて、懐が広くなった気がして嬉しかった映画でした。

長くなりましたが、とにかくお薦め・・・ということが言いたかったんです。

今週末は何も観る映画がないです。
しかたないので「マーキュリーライジング」でも観ようかしら?でもしばらく「相続人」の余韻にひたることにします。(相当気に入ったかも・・・)

Report: 鴉 圭子 (1998.10.24)


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