天候を自由に操り世界支配をもくろむ悪役を才色兼美のエマ・ピール博士が粉砕する。007的勧善徴悪でも低予算のスタイリッシュ・ムービー。
実に素晴らしいトホホな映画だ。久しぶりのそのインパクトに痺れてしまった。ユマ・サーマンがまったくもってカッコいいのだ。しかし内容はないのだ。
彼女はシーンが変わるたびと言ってもいいくらい、これでもかと衣装をとっかえひっかえ着替えてくれる。キャット・スーツ(と言うのかな?革のぴったりしたスーツ)も勿論カッコいいが、僕は一瞬しか映らなかったワインレッドのチャイナドレスが断然おすすめ。この彼女が、ジャガーEタイプを駆って疾走する。どちらも実に悩ましい曲線の持ち主。スウェードのスーツの上着を脱いだら、下のベストはなんとバックレスで、美しい背中がどんと画面にあらわになってドキッ。
ううすばらしい。お友達になりたい。
彼女にしては珍しくアクション・シーンも多い。どこまでスタントなのか判らないが、あのボディラインの代役を、果たして誰がつとめることができるのだろうか?
もちろん『The Long Kiss Good Night』『カットスロート・アイランド』のジーナ・デイビスのような、ハードアクションがあるわけじゃない。トータル・リコールのシャロン・ストーンのように頑張ってるわけでもない。彼女のアクションはもっと優雅で、美しい。それは全編を通して見られる非現実的な世界に良くマッチしている。(屋外シーンが多いくせに、全然通行人がいない事に注意!)
そして彼女はこうした非現実的なシチュエーションが実に良く似合う。『GATTACA』『バロン』『パルプ・フィクション』でそうだったように。
忘れそうなので今のうちに書いておくと、主演?の俳優を僕は全然知らなかった。今でも印象がほとんどない。まあどうでもよさそうな気がする。監督も、多分僕は憶えないような気がする。ショーン・コネリーは悪くないが、全体の雰囲気からすると、もっと突飛なキャラクターを作った方が良かったような気がする。ストーリーについては、、、まあ、そんなもんだ。
よし片付いた。もう遠慮なくユマ・サーマンの話題に戻ってもいいだろう。
彼女は不思議な女優さんだ。何がどう不思議かということについては、きっと多くの映画雑誌が資料つきで並べてくれているだろうから、ここでは省略して、ただ僕が感じる個人的な想いだけを書く。彼女は確かに美人だと思う。時折ハッとするくらい美しいショットがある。しかし一瞬後のショットでは、逆に全然美人じゃないと思える顔がそこにある。この瞬間のギャップは激しい。だから僕は彼女が出てくる時は、余りにも美しいその一瞬を逃がさないように、ひたすらジーーーっと見詰めてしまうのだ。
その時の僕の姿は、きっとかなり妙だと思う。