Cinema Essay

邦画はよろし?


弥七:以前は全然邦画を見ないといってたけど、最近僕に連れられて良く見るよね?『黒蜥蜴』なんか気に入ってたんじゃないの?

お蝶:そうねえ、妖しい雰囲気と妖しい人たち。最近の日本映画ではなかなか見られない魅力かなあ。ストーリーもおもしろく、退屈しなかった。

弥七:単に三輪くんが出ていたから良かったとか。三島くんが出てたのはどないだ?

お蝶:あれはびっくりですねえ。でも彼を作家として良く知らないから、単に変なカッコした人形というだけかなあ。三輪くんはきれいだねえ。
でも、全体の雰囲気がよいのでグー。

弥七:雰囲気と言えば、怪しげバーとかのシーンが結構あって、それがまたミョーな感じ。でも石原裕次郎の映画とかを見ているとああいうシーンが多かったような気がするので、結局当時はあれが普通だったのかな。
僕は松岡きっこがやたらに美人だったことが衝撃だったなあ。

お蝶:裕次郎の映画は見たことがないんだけどやっぱそうかなあ。昔の女優さんってめちゃきれい。最近では白川由美さんに感動したねえ。あんな上品な女優さんは今では少ない。特に若い人はだめ!

弥七:白川由美と言えば先日見た『妖星ゴラス』か?

お蝶:え?お美しいのは『美女と液体人間』でしょう。

弥七:をー。そうか。妙な歌手役ね。うまくいくとあの冷たい顔つきでスクリーミング女優路線かとも思ったんだけど、結局そういう路線の人じゃなかったのね。
ところでこの種の邦画を見始めたのは僕が連れていった『ガス人間第一号』からかな?

お蝶:そうです。あの時代のおもしろさと、トホホさが気に入っています。観賞映画としては『黒い十人の女』も美女いっぱいなのがおもしろかった。
でも、日本映画で一番好きなのはやっぱり横溝シリーズ(金田一シリーズ)ですね。
謎が 1 から 10 まで解決するのがうれしい。

弥七:『黒い十人の女』と横溝シリーズと言えばやっぱり市川昆監督?

お蝶:そうですね。トヨエツの『八ツ墓村』はでんでんだめ。

弥七:あー、市川版『八ツ墓村』ねえ。僕もちょっといまひとつだった。何故だろね。
でも豊川悦司はファンだったんじゃないの?テレビドラマでやたら注目していたような記憶があるけど。

お蝶:『愛していると言ってくれ』の彼がひたすらよい。映画も彼がだめなんんじゃなくて、全体のあやしげ、とかおどろおどろした感じ、がないとか、犯人の浅野ゆう子がさわやかすぎる、とか映画全体が明るい感じ、などなど。
あれは1作目と違い過ぎる。ぜひ、1作目を見て欲しい。犯人の小川真由美の妖しい魅力と、若いショーケン、「たたりじゃー」と叫ぶ人、殺人シーン。どれも怖くて、鎧を見ると思い出してこわかった。

弥七:1作目と言うのは噂の渥美清・ショーケンの八ツ墓村だね。ほんとは『愛してくれと言ってくれ』から常盤さんの話に行きたいんだけど、ぐっと抑えて『居酒屋ゆうれい』にしよう。豊川悦司とショーケンが出たからね。これは結構良かったねえ。最近の邦画のうちではなかなか楽しめた方だと思うよ。うん。もう一回見てもいいなと思えるな。豊川悦司はチョイ役で得意のハ中類っぽい役だったから面白くなかったかも知れないけど、僕は好きだなあ。それからやっぱりショーケンはいい俳優だなと思ってしまった。

お蝶:そうそう、あれはおもしろかったねえ。ショーケンはおじさんになってからしか余り見ていないけど。基本的に日本映画って詰まらなくって劇場には見に行かないのよねえ。
たまたま見てしまって面白かったのは『釣りバカ日誌』『Shall We Dance?』『ファンシィダンス』『シコふんじゃった』ですね。

弥七:後ろ三つは見事に周防正之監督作品の連続技やね。僕にとっての周防監督作品は、やっぱり『ファンシィダンス』かなあ。『シコふんじゃった』はどうも今一つ。『Shall We Dance?』は草刈さんが美人だなあと言う程度で、内容的には今一つ。それよりどれを見ても僕は本木雅弘っていうのはいい役者だなあと思ったよ。一般には『RAMPO』あたりから注目されたかと思うんだけど、僕は見てないんだよねえ。。
ところで『Sall We Dance?』は主演の役所広司がいい雰囲気を出していて、その点では良いかなあと思うんだよね。この頃彼が主演した多くの映画の一つ『CURE』は僕はすごく気に入ったけど、どうも駄目だったみたいだね?

お蝶:駄目駄目。前の金田一シリーズが好きな理由の一つの、謎解きがないんだもん。
犯人は誰、動機は、どうやって事件をおこしたの。などなどがこの映画ではさっぱりわかんないんだもの。そんなものはゆるさない。

弥七:いやー、それを言っちゃあねえ。。。じゃあまあとりあえず終りがしっかりした『リング』を見ましょうかね。怖いよー。
転結がしっかりしている邦画と言うと、謎解きはないけど黒澤明のアクションはいかが?『用心棒』とかね。

お蝶:うん、すきすき。ちょっと長いので途中だらけちゃうんだけど。『椿三十郎』のほうが単純明解で好きです。
仲代さんがよいよねえ。

弥七:仲代達也は僕は前は余り好きじゃなかったんだけど、例えば『影武者』とかね。でも先の『椿三十郎』とか、僕が好きな『天国と地獄』などの若い頃ではギラギラするような雰囲気があってカッコいいなと思うんだなあ。この頃の作品では三船敏郎が強烈な個性を放ってて、これに伍していくためにはこうでもしないとなーという気がする。こういう強烈な個性の俳優さんって今なら誰がいい?

お蝶:うーん、いないんじゃないかなあ。個人的には役所さんや渡辺謙なんかが好きだけど、洋画のように好きな俳優って日本ではなかなか。

弥七:個人的に好きな俳優というと、真田広之なんぞはいかが?ないしは佐藤浩市。因みに『らせん』で共演してるな。

お蝶:えーっ、だめだめ。わたしの好みじゃないわ。
顔でいくと中村トオルとかさっきのもっくんあたりかな。でも、なかなか私の好みの映画にでてくれない。洋画のようにカッコいい役ってないのよね。
そういう映画がないところにも私の邦画ぎらいの理由があるの。

弥七:舘ひろし君も駄目なんだよね?

お蝶:舘くんもなあ。もうひとつやなあ。沖雅也みたいなのがいいんだけど、映画ないしなあ。

弥七:松田優作が生きてたらなあとつくづく思うんだけど、うーんでも彼も好みじゃないんだろうなあ。どこかにカッコいい俳優さんはと、、カッコいい役も必要か。加藤雅也くんはお勧めだったよね。僕もいいかなと思ったけど、泣かず飛ばずだねえ。良い悪役いないかね。

お蝶:顔がよくってかっこいい、恋愛ものも悪役もいける人っていないかなあ。すごい贅沢。でもまず、いい邦画を期待したいですねえ。

Report: 弥七&お蝶 (1998.10.18)


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