Cinema Review

007 トゥモロー・ネバー・ダイ

Also Known as:007 Tommorow Never Dies

監督:ロジャー・スポティスウッド
出演:ピアーズ・ブロスナン、ミシェル・ヨー

メディアの帝王が世界を混乱に陥れるために核ミサイルを英国艦から奪取。中国と英国を戦争状態に巻き込もうとするところにボンド登場。毎度お馴染みの活劇。

実に久しぶりに劇場で見た 007 映画だ。オープニングが例の銃口の中から覗いたイメージで昔から変わっていない。その丸穴の中をボンドが歩き、振り向いてどきゅーん、血のイメージがゆらゆら、まで全く同じで少し感動した。
(あれ!そう言えばお決まりのセリフ「Bond, James Bond」を憶えていない。あったんだろうけど。)

あらすじはまあいつものように非現実的。紹介する必要もないだろう。今回少し違うところというと、ボンド・ガール的な女性が出てこず、香港映画のアクション女優、ミシェル・ヨーが出ずっぱりなこと。彼女は確かジャッキー・チェンの映画にも(名前がちょっと変わっているけど)出ていたはず。なかなか派手なアクションを見せてくれる。
でも僕はどっちかというと綺麗なおねえさんが水着でチャラチャラして欲しいなあと思う。そういう意味では今一つ物足りない。ジョイ・ウォン出ないかなあ。アクションは無理だけど。

ボンド役はピアーズ・ブロスナンで、これがなかなかよろしい。でも僕はショーン・コネリーのイメージが焼き付いている人なので、ちょっと怪しげオッサン度が足りない。ひとがよさそうに見えるといったらいいのだろうか。ただ彼のアクションシーンでの全力疾走はなかなかサマになっててGood。ヨッ、おっちゃん走り込んでるね、という感じで、この辺りのリアリティは結構重要だなあと感じた。

そうそう、途中でのバイク・アクションが結構話題になったけれど、確かになかなか見ごたえがある。BMWのアメリカン・タイプのものなのだけれど、サスペンションもがっちり底まで沈んで、振り回して走らせている。今回はボンド・カーも BMW だ。英国車はもう出てこないのだろうか?

とにかく、(ボンド・ガールがいないなど幾つか僕向けには不利な要素を抱えながらも)この作品が結構お気に入りの部類にランクインした理由は、恐らくそのまとまりの良さだと思う。相変わらずのストーリーで、テンポ良くいろんなアクションが続く、これが気持ち良い。
それに 007シリーズでなければ、いまどきこれほどリアリティの薄い実物セットでのアクションなんてできやしない。改造車がロケット撃って鉄ビシ撒いてリモコンで走るなんて、他の映画じゃ絶対無理。だからそれだけでも 007 を見た甲斐がある。
この作品はそうした 007 ならではの持ち味をうまく活かしていると思う。次回作には『ロシアより愛をこめて』『ゴールド・フィンガー』のような悲しげな雰囲気が加わることを希望したい。『ムーン・レイカー』みたいなのも悪くはないんだけどさ。

Report: Yutaka Yasuda (1998.09.01)


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