今回の新作で言えることは、まず第一にもー、役者の皆さんうますぎ!ってことです。
映画の最初のうちは前2作に通じるようなテンポの良さが目立っていましたが、話が進むにつれて段々と心の底に沈み込むようなくらーいムードになってゆき、ああ、監督的には新しいサブ映画を目指そうとしているのかな、というのが感じられました。
でも、途中で所々また前のようなテンポが戻ってきたりして。うーん、何というか、まだふっ切れてないようで、やるならとことん!が好きな私としてはそのエンターテイメントにもまだちょっと未練があるかのような演出に物足りなさを感じました。
その物足りなさを補うかのように目立ったのが役者さんたちの演技です。前2作ではそんなに感じなかったんですが、堤真一はすごい!くらーい場面でのサブの演出の不慣れな、くさーい点をカバーしてそれ以上のものをこちらに見せてくれました。
そして何といっても田口トモロヲ!!いつもいつも同じ役者とは思えない顔を見せてくれます。結局は、いつもと毛色の違うものを作ってみたかったけど、まだそこまで演出力が到達していなかったのかなあ。そしてその分役者が目立ってしまった、と。いつもは役者の演技よりも監督の演出力が上なんですけどね。でも、劇中こちらを笑わせてくれる場面では相変わらずのすばらしさ。殺し屋ジョーなんてステキすぎるし。私的にはやっぱりエンターテイメントこそサブ監督の実力がいかせる場だと思いました。それともサブらしさ、を求めてしまった私の見方がいけなかったのでしょうか?
オープニングや音楽のカッコ良さは健在。今回初のサントラが発売されていて、前2作からも収録されていました。弾丸ランナーのエンディングのサブの歌も聞けます。すごすぎるー*-* 気になったのはパンフレットに監督は今後海外で映画を作る、というようなインタビュー記事が載っていたことです。確かにサブの作品は海外の映画祭での評価は高いらしいし、良いことだと思うのですが、北野たけし(漢字?)の映画に関しても、海外での人気の方が高かった覚えがあります。もっと日本の映画を海外からではなく、私達が先に評価できるようになるといいのに。なぜ日本映画はくだらない大作ばかりにお金をかけて、才能ある若手を早くから育てようとしないのでしょうか。また観客もいま新しい人達が日本映画に出てきている、ということに気づいてほしいです。小作品を集める映画祭により多くの人が注目してくれるとこれからの日本映画が楽しくなるでしょうね。と、いうわけで私はこの前見逃してしまった『鬼畜大宴会』が再上映されるのを見に行こうと思います。ぴあからこういう形で大きくなってゆく作品があると心強いですね。