名画座を経営する青年の部屋に、ルームメイトとして若くて爽やかな好青年がやって来るが…
中学生くらいの時に初めて見て気に入っていたのを、凄く久しぶりにビデオで見直した。
結果、画面のキレや奇抜さの様なモノは無いが、やはり良い映画との感想に落ち着いた。
名画座を経営している青年エイドリアンの元に、ルームメイトとして一見さわやかな青年ジャックがやって来るのだが、町では幾つかの殺人事件が起きていく…というストーリー。
いかにもなサスペンスストーリーだが、この作品のユニークな部分は、サスペンス部分よりも、主人公を含めた登場人物達が、ジャックの登場によって、束の間の救済と安らぎを得ながら彼に依存して行き、逆に醜さを露呈して行く様に有ると私は思う。
特に、アパートの住人達がエイドリアンの部屋に押し入って来るシーンや、ラストで食卓に腰掛けたままのジャックと会話を続けるエイドリアンのシーンには、愛情の独善性を垣間見せられて、面白く、恐い。
最後、果たしてジャックは本当にエイドリアンを裏切るつもりだったのかが不鮮明なのも作品に幅を与えてくれて嬉しい。
私には、ジャックが自殺をした様にも見えるのだが…。
そして、その死がエイドリアンにとってどの様な意味を与えてしまうのか…。
エイドリアンの成長物語として見てしまうと、ますます辛くなる。秘密主義で自分の殻に閉じこもり続けた彼が、唯一、母親以外に心を開き、欲求した相手がジャックで有ったが為に、より深く自分の世界に閉じこもらざるを得なくなるのだから。
ビデオで置いている所も少ないが、サスペンス映画としてもちゃんと出来ていると思うので、機会が有ったなら御覧になられても良いと思う。