熊のいるホテルを経営したい父と、その家族の数年間を描く。
なんともあらすじの書きようがない映画だ。
ロブ・ロウは明るく楽しい家族の、ひょっとするとすこし仲の良すぎる家族の一員だ。姉のジョディ・フォスターを本気で想っている。
この家族に十年足らずの間で起こる出来事を、ドライに描くのだが、しかしそれにしても数多く起きる出来事の幾つかは悲惨とも言えるようなものだ。多くの失恋、死、レイプまでも実にドライに描かれる。これじゃコメディにならないよ、と、僕は自分の感情の置き場所に困ってしまった。
もちろん多くの事件が生々しくなりすぎないような、現実離れした進行と設定ではあるし、物語のスピードは見ているものを振り切ってしまいそうなくらいに速い。しかし次々に起きる事件の内容は、逆に神経にベットリと貼りつくような生々しい出来事ばかりなのだ。このギャップを受け入れて感情移入できる人はいるのだろうか?これは日本的感情かなあ。。。
熊のぬいぐるみを脱げない、という妙な役でナスターシャ・キンスキーが出ていて、彼女のファンならば要チェックかも知れない。僕はアメリカ青春映画というのを見ないので、ロブ・ロウはほとんど初めてだったが、ナイーブな感じがなかなかよろしい。かなり若いジョディ・フォスターもグー。
「開いている窓は見逃せ」という妙なフレーズを人生訓としろ、とのんきな父親はいう。開いている窓を見つけたら、つい身を投げてしまうくらい、生きていくのが辛い時がある。強くなれとはいえない時もある。だからただ見逃せばいい、今はただ見逃して生きたら良い、と父親はいう。
余りに冷たい温度感のセリフだ。その感触だけが奇妙に僕の記憶に残る。