時は200x年、近未来。通信型対戦ビデオゲーム「デンジャープラネット」は専用大型体感筐体を使ってロボットによるバトルを楽しむゲーム。しかもパソコンを使えばゲームに使用するロボット=V.P.(バーチャルパペット)を設計製作することもできる。その仮想戦場で主人公、桐生は高度にカスタマイズされた「ベンケイ」と呼ばれるV.P.にのる高原彩理にであう。
これを書いている現在(97/08/15)、ゲーム好きな人はこれに似たゲームでSEGAの「バーチャロン」というのがあることを知っているでしょう。しかし、このコミックがアスキーコミックに掲載されたのは93年の夏です。当時コンシューマーゲームではRPG、アミューズメントスポット(ゲームセンター)ではストリートファイター2のような2D対戦格闘ものが流行っていました。でもその頃はまだ今ほどコンピューターの性能も高くないので、3Dのゲームなどはまだやっと出始めてきたかな?という時代だったと思います。
このような時代にこのコミックを読んで一番はじめに思ったことは、「これからはこういう3Dを使ったゲームがはやるんだろうなー。」ということでした。確かにこれ以降3Dを使ったゲームが流行し、3Dに関して書かれた本も増え、最近ではWindows95の開発環境の一部として含まれるようにもなりました。そのためサンデープログラマーでも「3Dを使って何か(ゲームが多いですが)作ろう!!」という人が増えてきました。
そして今やPSやSS等のコンシュマー機でも3Dを生かしたゲームが多く作られてきて(なんでも3Dにすればいいというものでもないんですが)一般の人にとっても珍しいものではなくなり、この作品にかかれているようなゲームが、コストという面を考えなければ実現可能なところまで来ています。
しかしこの話の中で”すごい”と思ったのは”3Dで体感ゲームを行う”というインターフェイス的な部分よりも、ユーザーに提供しているのが”世界”または”物理法則”といった”場”だけであって、それぞれが操作するV.P.は「マスターシステム」と呼ばれる世界の中の物理法則で許される限り(物語中では”ビス1本から!!”とまで言われている)、自分でカスタマイズすることが可能になっているところです。つまり「マスターシステム」の提供する物理法則から外れていなければどんなものでも可能になっています。
たしかに、これまで色々なコンピュータゲームを題材にしたコミックはありましたが、このようなシステムを持ったゲームの楽しみ方を書いたのは少ないんじゃないかと思っています。そのためこの手の話にありがちな”ひたすら戦闘ばかりしている(ジャンプセオリー?)”ようなことはなく、高専生の主人公とその周りの人達が、このゲームに関わっていくごく普通(?)の生活の一部、というような描かれ方になっていて、「ああっ!!俺の学生時代もこんな感じだったら楽しかったろうな。」と読んでいて思ってしまいました。
ということなので当然のことながら、細々した設定(とくに生活環境)が妙に実現可能な現実感を持っていて、”本当に200x年はこのような時代になるんじゃないか?”といったような感じや、”高校生ってやっぱりこんなかんじなのかな?(実際今と(僕らの時代と?)ぜんぜん変わってないと僕は思うんですが)”と思いましたね。
でもやっぱりこの作品を読んですごく思ったことは、”こんなゲームを作りたい!!”ですね。この話に出てくるキャラクターは本当にこのゲームを楽しんでいる様子が見ているほうにも伝わってきて、”このゲームをやってみたい!!”、”ないのなら作ってでもこの楽しさをみんなに伝えたい!!”とまで思わせるぐらいなんですから。
最後に、「だれかこんなものつくって!!(笑)」