Cinema Review

サブウェイ

Also Known as:SUBWAY

監督:リュック・ベッソン
出演:イザベル・アジャーニクリストファー・ランバートジャン・レノリシャール・ボーランジェジャン=ユーグ・アングラード、エリック・セラ
音楽:エリック・セラ

迷宮のようなメトロの不思議な住民たちの生活と、そこに飛び込んだ美しい令嬢。物語はメトロのように交錯する。

この作品は僕の大のお気に入りなのだ。このレビューにも既に一度書いた。しかし、今回再び数年振りにフィルムで見ることが出来たので、前回書き損ねたところ、書き間違えたところも含めてまた書こうと思う。

まず記憶違いのところを直そう。僕の記憶力はザル並みに穴だらけなのだが、それにしてもたくさん間違えてる。
アジャーニの登場シーンでは蒸気なんか出ていない。ただ、音がするだけだ。地下のシーンではたくさん蒸気が出てるけど。。
ベッソン映画の常連、(と言うかベッソンの旧友)ジャン・レノは常に身体を鍛えている男ではなくて、チョイ役的とも言えるドラマーである。
どちらも大間違いだが、まあ前のレビューはそのまま残しておきましょう。

今回見直して再び良いと思った事も多い。
何と言ってもアジャーニの美しさが素晴らしい。アジャーニは非常な美人なのだが、僕はあまりその美人度鑑賞的作品を見た記憶が無い。『殺意の夏』がまあまあそうかなと思うのだけれど、それでもこの作品には及ばない。残念ながら露出は無いが。。。。はは。
今回の上映では、彼女の音楽プロモーションビデオ『マリン・ブルーの瞳』(原題は『PULL MARINE』)も上映された。パンフレットによれば、彼女はこれで歌手デビューしたのだそうだが、ベッソンがこの演出を手がけ、それが気に入ったアジャーニはこの作品へのオファーを受けたとある。このビデオがまたベッソン的「水」に満ちた面白いものだった。『グラン・ブルー』に通じるものを感じる。

今回見直して新しいことも幾つか楽しむことができた。
この作品は全編が音楽で彩られており、それと映像のスピード感溢れるシンクロが素晴らしい。それは冒頭のカーチェイスのシーンから最後まで息切れせずに続くのだ。強めのベース音が響くその音楽を手がけるのはエリック・セラだ。
劇中、濃いサングラスを掛けたベーシストが登場するのだが、僕は「コイツ怪しい!(エリック・セラじゃないのか?)」と思って、ずっと注目していた。また僕の記憶違いかもしれないが、セラは確か盲目だったはずなのだが、それにしては何シーンか素早く障害物を避けて歩くようなカットがあったので、うーん、これは違うかと思ったりしていた。しかしパンフレットを見ると、やっぱり!そうだったのだ。ベッソンが持つ映画と音楽との関係を表しているように僕には見えた。
実際ベッソンの映画は映像的であると同時に音楽的だ。それとスピード感とのシンクロ具合が僕には心地良い。

2003.4 追記
思い出して調べてみたが、セラは盲目ではないようだ。なのに何故年齢も知らない、見かけも知らない、出演してるとも知らないセラを、濃いサングラスを掛けたチョイ役のベーシストではないかと思ったのだろう。不思議なものだ。

Report: Yutaka Yasuda (1997.06.15)


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