Cinema Review

スワロウテイル

Also Known as:Swallowtail

監督:岩井 俊二
出演:CHARA三上 博史、伊藤 歩、江口 洋介、渡辺 篤郎、山口 智子
音楽:小林 武史

世界で円が最も強いその時代、円を求めて世界中から人間が流れ込み、そこは円都(イェンタウン)と呼ばれた。近未来無国籍ロード音楽SFアクションなんだかよく判らないムービー。

公開当時、岩井俊二は流行っていた。CHARAたちがやっていたイェンタウンバンドもちょっと流行った。僕は『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』等を見て、岩井俊二が気になっていた。だからこの作品を見る気になったのだ。

しかし良くない。期待していたのだが僕には面白くなかった。僕は岩井俊二には『Undo』や『PiCNiC』等を見た時に欝的な閉塞感を感じてしまったが、それとも違う楽しくない雰囲気を感じてしまった。だらだらと長いせいかも知れない。音楽が小林武史で、そのせいか全く音楽Videoクリップの様な映像がまるまる一曲掛かると言うシーンがあったりする。
主演とも言える伊藤歩が悪くない雰囲気に映っているだけに、どうももったいなく思えてしまう。ところで彼女は新人なのだろうか?他に何かに出ているのならそれも見てみたい気がする。

話題を変えて雑多な話をしようか。舞台であるイェンタウンで話される言語は何だか不思議な、中国語英語日本語他ごちゃ混ぜの言語なのだが、ひょっとして誰かが勝手に創り出した言語なのかも知れないと思ってしまった。そういう例は映画では幾らもあるのだろうが、僕はつい『オネアミスの翼』というアニメーションを思い出してしまう。この作品と同じ様に謎の言語のセリフには日本語の字幕が付くと言うのが楽しい。
それからキャストが面白い。話の要所に出てくるのだけれど妙に地味な渡辺篤郎が雰囲気があって良い。俳優としては伊藤歩ともども期待したいなあ。『Undo』にも出ていた山口智子がほとんどチョイ役出演してる。やっぱりと言うべきかCHARAの夫である浅野忠信もバンド演奏シーンにノッている客として一瞬写っていた。
そうそう、この映画、R指定なのだそうだ。何故なのかと思っているとニセ札を作ると言うシーンが引っ掛かるのだそうだ。確かに子供が真似して家中の千円札をちぎってセロテープで張りはじめたらまずいかも知れない。お札の磁気情報は印刷インクに含まれる磁性インクのもので、後から磁気情報を刷り込んだりは出来ないよと思わず考えてしまったけど。。。

偽札の件を含めて、岩井俊二の映画には良く言えば現実離れした、悪く言えばチャチなところがある。僕はもっと現実離れしていながらリアリティを感じられる、確かな未来感(別世界感と僕は呼ぶ)を伴った映像が好きだ。イェンタウンに別世界感は感じられなくはないが。。。
作品をいじるような話をするべきじゃないのは良く判るんだけど、でもこの作品に限ってはもっとズバズバ切った方が良いなあと思ってしまった。

Report: Yutaka Yasuda (1997.02.18)


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