Cinema Review

ベルリン・天使の詩

監督:ヴィム・ベンダース
出演:ブルーノ・ガンツ

ベルリンの壁崩壊の頃に撮られたエッセイ的劇映画。この世の中を見守る天使が、次第に人間世界にあこがれ、自らも人間となって世の中を生きていく。天使の視点をモノクロ、人間の視点をカラーで表現している。特別出演として、ピーター・フォークも出ている。

ヴィム・ベンダースは、「大いなる旅人」とゴダールに表されるように、監督自身が移動することによって作品を作ってきた。
彼の有名な作品として挙げられるのは、1984年に公開し、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した『パリ、テキサス』であろう。
このベンダースが10年振りに母国に戻って作ったのが『ベルリン・天使の詩』である。この作品は1987年カンヌ映画祭監督賞を受賞をした。
作品の特徴としては、モノクロとカラーの巧みな使い分けである。モノクロの画面では天使から見た人間世界の様子を描写し、カラーの画面では人間から見た世界を表現している。見る者は、最初なぜモノクロなのかが理解できないが、ブルーノ・ガンツ演じる天使が人間世界に降り立つ際に画面が色鮮やかなカラーになることで、ようやく理解できるのである。
また、人の持つそれぞれの悩みがこころのつぶやきとして表現されている点も興味深い。

Report: るな (1996.11.16)


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