女は塀に囲まれた精神病院に運び込まれる。ある日、女はそこに居た男二人と塀を伝ってピクニックに出かける。
僕が岩井俊二を意識したのは『Love Letter』の予告編を見てからだが、この作品はその前に撮られたものだそうだ。1994年の夏の事だ。公開が今になってしまって、つまり2年近く眠っていたことになる。
浅野忠信見たさに行ったようなものだ。併映の『FRIED DRAGON FISH』を見に行ったと言っても良い。しかし肝心の浅野忠信は全編を通じて台詞は少なく、殆ど喋らない。まあ主役はCharaだから当たり前か。しかし全体的に動きも殆ど無く、なんとも閉塞した感じのする作品だ。
僕はCharaというシンガーを全く知らなかったのだが、結構売れているのだそうな。映画も小説も音楽も予備知識無く行き当たりばったりで楽しんでいるので、こういう事は良くあるのだ。映画も結構それで見逃すし。たまに面白いものにブチ当たるのが楽しみではあるのだが。このCharaは面白い感じだったがしかし他の面も楽しみたいものだ。
作品としては短くまとまっていて悪くはないと思う。多少冗談ぽい所もあるし、現実場離れしてメルヘンチックになっているとも言える。塀を伝ってピクニックに行き、弁当(サンドイッチの類か?)を食べて世界の終りを待ち続ける二人。Chara演じるココは私の最期が世界の終りと言う。その最期のシーンの派手さに僕は『椿三十郎』を思い出してしまったが、しかしそれまで欝のように動きのなかった映像が続いたせいで僕の眼にそれは焼き付いた。
いずれにしても浅野忠信を見に行った僕には物足りなかった。彼の魅力は『FRIED DRAGON FISH』の方が余程光っている。
そうそう、キャストに名前が出てくる伊藤かずえだが、ほんとにチョイ役のようにしか出てこない。ほんとにちょびっとだ。