’89。フランス。深海100m以下まで素潜り(酸素ボンベなし)で潜水する競技「フリー・ダイビング」その潜水記録を競い合う二人と通して海への思いを映像で綴る。実話が題材。
実際にこの映画が題材にした人物の記録がつい最近十何年ぶりに抜かれたとの新聞報道で僕はこの物語の競技「フリー・ダイビング」なるものの存在が実在することを知った。確か記録が126mぐらいだったと思う。古い記憶なので全然自信がないが…。
アメリカ映画だったら単純なスポーツもので、競い合い勝った負けたで感動的な(本人達が勝手に感動しているだけなのだが)友情のエンディングを向かえるという筋が大いに予想できそうなテーマだが、さすがにフランス映画となるとそこらへんはそんなに単純ではない。単に能天気に作るか作らないかの違いなような気がしなくもないが…。
なにせ、競技自体が命がけなので自然とテーマが死の直前の神秘とか、その瞬間にかいまみる海の偉大さとかである。ギリシャ近郊のエーゲ海では乾燥している山肌とエメラルドグリーンのだるそうな海があきらかに日本の風景と違和感があってボクラにはさらに現実味のない世界だ。
タユタユと海と自然と馬鹿げた競技にかける執念とがたゆたゆ。
グラン・ブルーにはフリー・ダイビングの日本チームも参加してひと騒動起こすのだが、あまりにも日本人っぽいエピソードなのでなさけない。もっと情けないのが、そのシーンに出てくる日本人全員が海の競技の人間とは思えないぐらい体格が貧弱なことだ。適当に日本人を雇ってエキストラで参加させたのだろうが、もっとましな奴を選択しても良かっただろうに、あれではあまりにもひどすぎると思ったものだ。ちなみに奇麗な日本語を喋っていたのでたぶん本当の日本人を使ったんだと思う。
だるい、夏の夜に見る映画