’86。フランス。製作・監督・脚本がJ・J・ベネックス。原題は「37.2°C LE MATIN」でも、僕にとってはベティー・ブルーなんだけど。海岸沿いの家でしがないペンキ塗りと知りあった情熱的な女性ベティ。激しい愛情故の狂気によって破滅の道を歩んでいく。
とても、かなしい。
ベティー・ブルーはそういう映画だ。
とても、かなしい。
リフレインとなるフレーズは映画中なんども登場してくるが、始めの情熱的な出会いのシーンでさえあのもの悲しいフレーズの中で二人は出会う。その後の運命を暗示しているかのように。ピンクと青で塗られらた能天気な色彩の家のシーンでは同じフレーズがほのぼのとした明るい未来を暗示させているのに、最後のゾルグがベティをみまもる「青い」シーンでは永遠の別れを嘆き悲しむかのようなレクイエムに聞こえる。おなじフレーズなのに。
丁寧に丁寧に二人の感情を色彩や音楽や映像で表現しているこの映画は、とても単純な言葉で綴れない。あまりにも痛すぎて。ただ限りなく深く「青い」というのが結局のこの映画の印象か。あまりにも痛い。
あまりにもこの映画は映画の中に二人の感情を表現しすぎてスクリーンの前いにいるボクラは完全にとりのこされる。とてもじゃないが、その感情達に参加なんてできない。
やはり何がすごいというのはもはやいえなくて主演女優のベアトリスも映像も何もかもあまりにも表現力がありすぎて。激しい。映画の芸術の極みにこの映画が存在するのだなぁって思った。感情の表現ってこれほど痛く感じられるのか。ヌーベル・ヌーベル・バーグの傑作の一つ。
ベティは激しい。感情そのものだから。
僕にとっての『ベティ・ブルー』という映画は遠い昔の…
僕の、激しかった、