Cinema Review

知りすぎていた男

監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームス・スチュアート、ドリス・デイ

旅行中の家族が偶然に、国家レベルの暗殺事件に巻き込まれるという話。

ヒッチコッックの映画の設定で結構多いパターンの、主人公が偶然事件に巻き込まれるという典型的なもの。舞台はモロッコ、偶然、道中で知り合いになった男が、白昼堂々と、しかも、人がごった返すバザールの中で殺され、虫の息の中で、いきなり、”人が殺される。”と告げ、それが、高官の暗殺計画だったという、はっきりいって、迷惑この上ない話、おまけに、それを知ったおかげで、息子を誘拐される羽目に・・・う〜ん、久しぶりにビデオで見たけれど、よ〜く考えると、無茶苦茶な話だ、しかも、それを夫婦二人で、かたずけてしまおうという無謀さ、見ていて展開は面白いが、かなりむぼーといえる設定である。
で、全体的にここがクライマックス!という場面のあとにも、まだそれに匹敵する息子救出という場面が残っていて、まあ、話の流れからいって確かに暗殺計画を潰さないと、息子救出ができないけど、はっきりいって、すごくたるい、すっきりしない、と言うのが、この映画を見て、いつも思うこと。でも、ドリス・デイの”ケセラ・セラ”の歌が気に入っていて、ついつい見てしまう作品である。

それにしても、ヒッチコッックの警察嫌いは、この作品にも、結構出ている。まだ、ましな方だが、主人公のJ.スチュアートは、はなから、警察を全然信用していないのがありありと現われている。それから、気のせいかもしれないが、なんとなく、全体的に警察の扱いが、悪役っぽく感じる。主人公に協力的なふりをして、でも、簡単に裏切るかもしれない、みたいな気配を結構漂わせているように思える。これは、私の思い過ごしなのだろうか。
でも、最後がヒッチコッックらしい終わりかただ。からっと、何でもなかったように、軽いノリで終わる。暗殺計画をぶっつぶしたことなど、微塵も感じさせない、ちょっとハードな数日だった、みたいなノリ、決して、感動ものでは終わらないところが、あまりにも、ヒッチコッックらしくて、いいなぁと思える。結構何も考えずに見れるので、ヒッチコッックをあまり見てない人にはお勧めかもしれない。良かったら、見てみてください。

Report: Mayura (1996.05.02)


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