数千年の未来。銀河を支配する皇帝の罠にはまってしまった帝国の皇子が砂の惑星で復讐を誓う。
原題はDUNE。1984年にものすごい費用を掛けて製作され、ものすごい不評で終ってしまった作品だ。監督のリンチは76年の『イレイザー・ヘッド』で一部の評価を得て、80年の『エレファント・マン』などで一般からも名声を得た後だったのだが、しかしこの作品の評判は悪かった。僕もテレビ放映で一度見たとき、余りの内容の地味さ、暗さにやっぱり不評なのねと納得したくらいだ。
しかしビデオで特別編集版が出た事もあって、先日ビデオで見直してみた。最初の上映時で2時間少しだったものを3時間近くまで戻した様だ。そもそも原作は非常な長編だそうで、それを劇場用にカットして数時間に詰めると言うことそのものにかなりの無理があるのだろう。
ところで作品としてはやはり地味で、あまり人に薦められるものではない。リンチの作品としては他に『ブルー・ベルベット』(これは86年で『DUNE』の次の長編となる)などがあるが、これは結構好きだ。この『DUNE』はそれほど好きになれないが二つ良いと思える所がある。一つはリンチらしい光と影だ。そしてもう一つ、あちこちの「もの」のデザインである。面白い。非常に独特だ。服から調度品から部屋の内装、宇宙船など、ありとあらゆるデザインがオリジナルで別世界感があって良い。全体のデザインは一体誰がやったのだろうか?恐らく何年経っても陳腐さを感じさせないものとなるだろう。そういうSF映画は非常に少ない。『未来世紀ブラジル』『ブレードランナー』『エイリアン』『2001年宇宙の旅』と、幾つかは簡単に挙げられるがしかしこれに続く層が余りにも薄い。