Cinema Review

未来世界

Also Known as:Future World

監督:リチャード・T・エフロン
出演:ピーター・フォンダ、ブライス・ダナーユル・ブリナー

未来の楽園デロスに招待された新聞記者は、そこで行われつつある秘密を探り出そうとする。

これです。この映画を捜していたのです。先日テレビ大阪で掛かったのを見つけてしまいました。

僕がこの映画を初めて見たのは中学生の頃だったかも知れません。公開は1976年つまり僕が10歳の頃ですね。テレビで見たはずなので、当時のレート(?)から推してテレビ初公開は1979年頃かな?何よりラストシーンのヘンリー・フォンダのガッツポーズが印象に残って、、、他のシーンで憶えているところと言うと、なんだかターミネータみたいに滅茶苦茶に強いロボットが追いかけてくるというイメージなんですが、なんとこの記憶は僕の創作でした。つまり滅茶苦茶に強いと言うのは説明があるだけで実際にターミネータの様に、どんなにやっつけても生き返ってくる様なシーンはありませんでした。その代わり特別出演のユル・ブリナーがカラーコンタクトレンズをはめてロボット役として出てくるのですが、こいつが無表情に大股でのっしのっしと追いかけてくるシーンがありました。これとピーター・フォンダの偽物との追いかけっこをまぜこぜにして憶えていたのでしょう。それくらいこのユル・ブリナーのロボットは怖いです。

内容的には結構良いSF映画だと思います。でも僕はやっぱり脱線してしまう、、、つまりこの映画に出てくる謎の日本人像がどうにも引っ掛かったりするのです。何故か日本人の高官は常に日本刀を持ち歩いています。途中出てくる日本人らしきロボットは服装も笑えますが、西洋人が無理やり簡単なメイクで一重まぶたにしてミョーな顔で出てきます。をいをいそれで日本人ですは無いだろう!もう爆笑です。
脱線で面白いのはもう一つ、劇中に出てくるコンピュータです。『2001年宇宙の旅』が1968年とこの作品よりも10年近く古いと言うのに、そちらの方が遥かに良く出来ています。だってこの作品に出てくるコンピュータはランプが一杯なのですもの!
ランプ一杯と言う当時ですらちょっと古い感じのイメージでコンピュータが出てくるのに対して、中で使っているCG映像は結構なものです。何と人の手と顔のイメージがワイヤーフレームとポリゴン+レンダリング(まさかレイトレーシングか?)で出てきます。そして手をぐにぐに握ったり顔をぐるんぐるん回したりしてくれます。結構リアルです。一体何日掛けて描画して撮影したのだろうと想像してしまいます。

作品中にスーパーマンから名前を取ったと言う「クラーク」というロボットが出てきます。デロスという未来都市の最初の世代のロボットで、少々ガタが来ていると言う設定ですが、こいつが中々良く出来ています。時々物を忘れたり、わざと言い付けを聞かなかったりします。トランプのイカサマもする程の高性能です。思うに脚本家はロボットによる非人間的な世界(何と言う単純な構図)を描いている中で、善玉の、人間的なロボットを出したかった(これまた何と単純な)のだと思いますが、しかしこれが非常に実現困難な、良く出来たコンピュータなのだと言うことを知らなかったのだろうな。

Report: Yutaka Yasuda (1996.01.11)


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