Cinema Review

用心棒

監督:黒澤 明
出演:三船 敏郎中代 達矢、山田 五十鈴、司 葉子

流れ者の浪人が宿場に現れる。そこは一触即発の喧嘩が始まろうとしているところだった。そこで浪人は妙な行動を取り始める。

黒澤映画の典型的な娯楽時代劇。僕にとっての黒澤映画はもうアクションしかない!

まるで西部劇のような、というか西部劇がこれをまねしたのか、とにかく無国籍的な面白さがある。お姫様役に当たるのだろうか、司葉子が囚われの女を演じるのだが何しろ汚い面(ツラ)ばかりの役が並ぶ中で素晴らしく美しい。
黒澤アクションの面白い所はストーリーのニ転、三転だが、この用心棒は正にそれ。初め三十郎はあっちに付くかと思えばこっちに付き、ふらふらしていたかと思えば遂にぼろを出してぶちのめされる。策をろうして何とか脱出したら、今度は中代達矢演じる敵方用心棒と一騎討ち!そこへ囚われの女と飯屋のおやじが絡んでもう次に何が起こるかわからない。見る者全てがハラハラするというわけだ。

役者が若い。ジェリー藤尾が最初にちょろっと出てきて三十郎に腕をばっさり切り落とされたりしてチョイ役にも目が離せない。中代達矢も若くてギラギラした感じが良い。最後の三十郎と中代達矢の一騎討ちは本当に西部劇がまねしたのかなと思えるくらい西部劇しているのだ。

音楽が佐藤勝という人なのだけれど、この人は黒澤作品の幾つかに顔を出している。佐藤さんの映画音楽はいろんな楽器を使っていて、これは一体何の音だ?と楽しませてくれる。気がつけば僕が好きな黒澤映画はほとんど佐藤さんの音楽だ。

同じ様なアクション映画としてはこの作品の主役、三十郎を主人公にした続編『隠し砦の三悪人』がある。

Report: Yutaka Yasuda (1995.05.26)


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