Cinema Review

七人の侍

監督:黒澤 明
出演:三船 敏郎千秋 実志村 喬
音楽:早坂 文雄

不作の上に野党に襲われる山あいの農村の農民達が、野党を追い払うために侍を雇う。実りの季節が来ると野党対侍と農民の総力戦となる。

黒澤映画の典型的な娯楽時代劇。僕にとっての黒澤映画はもうアクションしかない!

黒澤映画で最高の戦闘シーンだと思う。正に肉弾相打つ(古いなー)という表現が合う。役者は泥まみれになりながら集団戦闘シーンをへとへとになって演じている。西部劇みたいに「バーン」「うーん」なんて言うもんじゃない、力と力のぶつかりあいだ。
3時間以上ある長い映画で途中に10分ほどの休憩もあるが、一度見てもまたもう一度見ようという気にさせられる。実際僕はこの作品を最初弥生座2で見たのだが、みなみ会館でもう一度上映したときにまた見てしまった。

三船敏郎が若い。僕は若い頃の三船敏郎が好きだ。なにより強烈な個性がある。今でも俳優としては個性の強い、特異な俳優だと思うが若い頃は何とも言えないギラギラしたところがある。この作品ではそれが素晴らしく活きていると思う。更に若い三船敏郎を『酔いどれ天使』で見ることが出きるが、ギラギラ度はこっちが上だ。

黒澤映画に三船敏郎と共に良く出てくる志村喬が主役とも言えるポジションを占めており、冒頭から話の誘導役を務めている。ギラギラした三船敏郎と対照的な穏やかさをもつ役柄で殺伐とした物語を明るくもしている。

音楽はこの頃の黒澤映画で良く見る早坂文雄だ。僕の好きな佐藤勝はこの早坂さんから仕事を受け継いだのだったと覚えている。

同じ様なアクション映画としては『隠し砦の三悪人』などがある。

Report: Yutaka Yasuda (1995.05.26)


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